ハリーポッターシリーズの象徴であり、物語の幕開けを告げる場所として世界中のファンに愛されている「9と4分の3番線」。
ロンドンのキングズ・クロス駅にあるとされるこの不思議なプラットフォームについて、その数字に込められた深い意味や由来を詳しく知りたいという声が後を絶ちません。
なぜ「9」と「10」の間なのか、なぜ半端な分数なのか、そこには作者の緻密な計算と、意外な個人的エピソードが隠されています。
また、実在するロンドンの駅にある撮影スポットの最新情報や、物語の中でハリーたちが「壁を通り抜けられなかった」あの衝撃的なシーンの裏側についても深掘りします。
さらに、近年話題となっているTXTの楽曲「9と4分の3番線で君を待つ」との関連性についても触れ、様々な角度からこの魔法のプラットフォームの魅力に迫ります。
- 9と4分の3という半端な数字が選ばれた本当の理由
- J.K.ローリングの両親にまつわる意外な誕生秘話
- 作中で壁を通り抜けられなかった原因と魔法の仕組み
- 同名のK-POP楽曲に込められたメッセージと作品との関係
ハリーポッター「9と4分の3番線」の意味と由来

魔法界への入り口として世界的に有名なこのプラットフォームですが、その設定には単なるファンタジーの枠を超えた、作者の深い意図や執筆当時の意外な勘違いが隠されています。
まずは、その名称の由来や場所に関する公式設定を詳細に紐解いていきましょう。
ハリーポッターの9と4分の3番線とは?場所と行き方
9と4分の3番線(Platform Nine and Three-Quarters)は、ホグワーツ魔法魔術学校へ向かう生徒たちが利用する「ホグワーツ特急」の始発駅であり、毎年9月1日の午前11時に真紅の蒸気機関車が発車する場所です。
物語の設定では、ロンドンの主要ターミナルであるキングズ・クロス駅の中にありながら、マグル(非魔法族)の目には決して映らない場所に存在しています。
具体的な進入方法として、原作や映画では、キングズ・クロス駅のマグルの9番線と10番線のプラットフォームの間にある「柵(または壁)」に向かって、恐怖心を捨てて小走りで直進することで通り抜けられると描かれています。
魔法使いにとってこの壁は、特定の条件下で透過する「膜」のような性質を持ちますが、マグルにとってはただの固い壁に過ぎません。
しかし、ここで現実世界における「聖地巡礼」の際に注意すべき点があります。実は、実際のキングズ・クロス駅の構造は物語の描写とは大きく異なります。
現実の9番線と10番線は駅の別館に位置しており、2つのプラットフォームの間には壁や柱ではなく、線路そのものが走っているのです。つまり、原作通りに「9番線と10番線の間の壁」に突っ込もうとすると、線路に転落してしまうことになります。
なぜ構造が違うのか?
これは作者のJ.K.ローリングが執筆当時、マンチェスターに住んでおり、ロンドンの駅の構造を記憶だけで書いてしまったためです。彼女は当時、キングズ・クロス駅の隣にある「ユーストン駅」の構造(プラットフォームが隣接し、柱が並んでいる形状)を思い浮かべていたと、後にインタビューで語っています。
現在、ファンのためにロンドンのキングズ・クロス駅には公式のフォトスポットが設置されています。場所は、実際のホームではなく、誰でも自由に出入りできる「西コンコース(Western Concourse)」の改札外エリアです。
ここには「PLATFORM 9¾」という看板と共に、壁に半分埋まった荷物カートのオブジェが設置されており、世界中から訪れるファンが記念撮影を楽しんでいます。
隣接して公式ショップ「The Harry Potter Shop at Platform 9 3/4」もあり、オリバンダーの店を模した内装の中で限定グッズを購入することができます。
撮影スポットでは、プロのカメラマンが常駐しており、寮のマフラーをなびかせる演出を手伝ってくれるため、映画のワンシーンのような写真を撮ることが可能です。
なぜ「9と4分の3」なのか?計算ではなく「間の存在」
多くのファンが一度は抱く疑問、それは「なぜキリの良い数字ではなく、9と4分の3という半端な分数なのか」という点でしょう。
中には「9と10の間だから9.5(9と2分の1)ではないのか?」と数学的な疑問を持つ方もいますが、これには魔法界ならではの哲学的な理由が存在します。
J.K.ローリングが公式サイト「Wizarding World」等で語った公式見解によると、この数字の選定には「マグル世界の常識の隙間」という意味が込められています。
マグル(非魔法族)の世界は、整数のように整然と管理され、論理的で隙のない社会として描かれています。魔法の世界は、そうした厳格な現実世界の「間」や「見落とされた場所」にひっそりと隠されている必要がありました。
整数の間に隠れる場所を表すため、小数ではなく「分数」であることが必然でした。そして数ある分数の中でも、「9と4分の3(Nine and Three-Quarters)」という響きが直感的に選ばれました。
ローリングによれば、この数字を選んだ最大の理由は「言葉のリズム」です。
「Three-Quarters(4分の3)」という英語の響きには独特のリズム感があり、具体的でありながらも、どこか奇妙で魔法的な雰囲気を持っています。
「9と2分の1」や「9と3分の1」ではなく、「あと少しで10に届くけれど届かない」という微妙なニュアンスが、魔法界への期待感を高める効果を果たしていると言えるでしょう。
また、興味深いことにキングズ・クロス駅には、9と4分の3番線以外にも「隠された分数番線」が存在するという裏設定があります。
例えば、「7と2分の1番線」からはヨーロッパ大陸の魔法使いだけの村へ向かう列車が出ているとされ、オリエント急行のような長距離列車が発着していると示唆されています。
このように、魔法界の鉄道網は我々の想像以上に複雑に張り巡らされており、「9と4分の3」はその中の一つに過ぎないのです。
一部のファンの間では「妊娠期間(約9ヶ月と4分の3)」と結びつけ、「生まれ変わり」や「新しい世界への誕生」を意味しているのではないかという深読み考察もなされていますが、作者自身がこれを肯定したことはありません。
あくまで公式設定としては、「現実(整数)の隙間に存在する魔法」を象徴するための数字なのです。
作者J.K.ローリングがこの駅を選んだ両親のエピソード
ハリー・ポッターの物語が、なぜパディントン駅やウォータールー駅ではなく、キングズ・クロス駅から始まらなければならなかったのか。その背景には、作者J.K.ローリング自身の人生における、非常に重要でロマンチックなエピソードが深く関わっています。
実は、キングズ・クロス駅は、ローリングの両親が運命的な出会いを果たした場所なのです。彼女の父と母は、当時18歳で海軍に入隊したばかりの頃、キングズ・クロス駅からスコットランドへ向かう列車の中で出会いました。
この出会いがなければ結婚には至らず、当然ながらJ.K.ローリングという作家も、ハリー・ポッターという物語もこの世に生まれていなかったことになります。
ローリングにとって、キングズ・クロス駅は単なる交通拠点ではなく、「全ての始まりの場所」であり、自身のルーツとも言える特別な思い入れのある場所でした。
だからこそ、主人公ハリーが孤独なマグル界での生活を終え、本当の自分(魔法使い)としての人生をスタートさせる場所として、迷うことなくこの駅を選んだのです。
名前の由来に関する豆知識
ローリングは「キングズ・クロス(King’s Cross)」という駅名自体も非常に気に入っていました。「王の十字架」という意味を持つこの名前は、力強く、どこか神秘的で象徴的な響きを持っており、英雄的な旅の出発点として相応しいと考えたのです。
また、地理的な整合性も重要な要素です。物語の舞台となるホグワーツ魔法魔術学校は、イギリス北部のスコットランドのハイランド地方にあると設定されています。
ロンドンからスコットランド方面へ向かう実際の鉄道路線(イースト・コースト本線)の始発駅がキングズ・クロス駅であるため、現実的なルートとしても理にかなっています。
さらに、あまり知られていない伝説ですが、キングズ・クロス駅の8番線から10番線の地下あたりには、古代ブリテンの女王「ブーディカ(Boudicca)」の墓所があるという都市伝説が存在します。
ローリング自身は執筆当時にこの伝説を知らなかったとしていますが、魔法界への入り口が古代の戦士女王の眠る場所と重なっているという偶然の一致は、作品にさらなる神話的な深みを与えています。
(出典:J.K. Rowling Archive on Wizarding World “Platform Nine and Three-Quarters”https://www.wizardingworld.com/writing-by-jk-rowling/platform-nine-and-three-quarters)
9と4分の3番線の英語表記と「通れない」シーンの真相

ハリーポッターの世界をより深く楽しむためには、原文のニュアンスを知ることや、物語の重要な転換点となった「通れない事件」の背景を理解することが欠かせません。ここでは、海外旅行で役立つ英語の知識と、第2作目『秘密の部屋』でのトラブルについて詳しく解説します。
「9と4分の3番線」は英語でどう発音する?
ロンドンの現地で道を尋ねたり、世界中のファンと交流したりする際に、「9と4分の3番線」を英語でスムーズに言えると非常に格好良いものです。
正式な英語表記はPlatform Nine and Three-Quartersとなります。数字を使って短縮表記する場合は「Platform 9¾」と書かれます。
ここで日本人にとって少し難しいのが、分数の読み方です。英語のルールでは、分子(上の数字)を基数(one, two, three…)で読み、分母(下の数字)を序数(third, fourth, fifth…)で読みます。
そして重要なのが、分子が2以上の場合は、分母を複数形にするという点です。
具体的に見ていきましょう。通常、分母が4の場合は「Fourths」を使いますが、4分の1(Quarter)という概念が一般的なため、4分の3の場合は「Three-Quarters」と表現するのが最も自然で一般的です。
最後の「s」を忘れないように注意してください。
| 日本語 | 英語表記 | 読み方(カタカナ目安) | ポイント |
|---|---|---|---|
| 9と4分の3番線 | Platform Nine and Three-Quarters | プラットフォーム ナイン アンド スリー クォーターズ | Quarterに「s」を付ける |
日常会話やカジュアルな場面では、「Platform」を省略して「Nine Three-Quarters(ナイン・スリー・クォーターズ)」と短く呼ぶこともよくあります。
また、現地の駅員さんに場所を聞く際などは、わざとらしく「すみません、ホグワーツ行きの列車に乗りたいのですが…」と聞くよりも、シンプルに「Where is the Harry Potter platform?(ハリーポッターのプラットフォームはどこですか?)」と聞いたほうが、スムーズに案内してもらえるでしょう(駅員さんも慣れています)。
ちなみに、映画の原語版を聞くと、車内アナウンスやハグリッドのセリフなどで、イギリス英語特有のアクセントと共にこの名称が語られています。ぜひ映画を見返す際は、発音にも耳を傾けてみてください。
ドビーの仕業?9と4分の3番線を通れない時の理由
シリーズ第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の冒頭において、ハリーとロンがいつものように改札口の壁を通り抜けようとしたところ、ドスンという鈍い音と共に激突してしまうシーンがあります。
これは単なる事故ではなく、明確な意図を持った妨害工作でした。
この事件の犯人は、マルフォイ家に仕えていた屋敷しもべ妖精の「ドビー」です。ドビーは、その年にホグワーツで「秘密の部屋」が開かれ、恐ろしい事件が起きることを事前に知っていました。
彼はハリー・ポッターの命を救いたいという一心で、ハリーが学校へ戻れないように画策したのです。
通常、9と4分の3番線への入り口は、魔法使いに対してのみ透過する魔法がかけられています。しかし、強力な魔法力を持つ屋敷しもべ妖精が干渉することで、この入り口を物理的に「封鎖」してしまいました。
封鎖された壁は、マグル界のただのレンガの壁と同じ硬度を持ちます。
強制的な封鎖のリスク
壁が封鎖された状態で突っ込むと、ハリーたちのようにカートごと激突し、怪我をするだけでなく、周囲のマグルたちの注目を集めてしまうという最大のタブーを犯すことになります。魔法界の存在が露見することは、魔法省が最も恐れる事態の一つです。
本来、ホグワーツ特急に乗り遅れた場合の「正規の対処法」は、ふくろう便を使って学校に緊急連絡を入れるか、魔法使いの両親(ロンの場合はウィーズリー夫妻)が戻ってくるのを待つことです。
ウィーズリー夫妻なら、「姿現わし」でホグズミードまで連れて行くか、魔法省経由で移動手段を手配できたはずです。
しかし、パニックに陥った12歳のハリーとロンは、「空飛ぶフォード・アングリア(改造車)」を使って学校へ向かうという、無謀かつ校則違反の手段を選んでしまいました。
この結果、マグルに空飛ぶ車を目撃され、魔法省の取り調べを受けるなど、退学寸前の大騒動へと発展してしまったのです。壁を通れなかった時の冷静な判断力の有無が、その後の運命を大きく分ける教訓的なエピソードとも言えます。
サジェストに出るTXT「9と4分の3番線で君を待つ」の意味

近年、「9と4分の3番線」というキーワードを検索すると、ハリーポッターの情報と並んで、韓国の5人組アイドルグループ「TOMORROW X TOGETHER(TXT)」の楽曲情報が表示されることが増えています。
なぜK-POPアイドルがこの名称をタイトルに使用しているのか、その背景と意味について解説します。
楽曲「9と4分の3番線で君を待つ」の意味とは
2019年にリリースされたTXTのファーストフルアルバム『The Dream Chapter: MAGIC』のタイトル曲である「9と4分の3番線で君を待つ(原題:Run Away)」は、K-POPファンのみならず、その独特な世界観から幅広い層に支持されている楽曲です。
この楽曲における「9と4分の3番線」は、単なる駅のホームを指しているわけではありません。
これは、辛く苦しい現実世界から逃げ出したいと願う少年たちが夢見る「自分たちだけが知る特別な避難場所」や「魔法のような奇跡が起こる場所」の隠喩(メタファー)として使用されています。
思春期特有の不安や孤独、大人になることへの恐怖を感じている主人公が、「僕たちの手をつなげば、そこが魔法の世界になる」「一緒に逃げ出そう」と呼びかけるメッセージが込められています。
ハリー・ポッターが孤独な階段下の物置部屋から、9と4分の3番線を通って輝かしい魔法の世界へ旅立ったように、この楽曲もまた、閉塞感のある日常からの脱出と、仲間との絆による救済をテーマにしているのです。
歌詞やMVに登場するハリーポッターへのオマージュ
この楽曲は、タイトルだけでなく、歌詞やミュージックビデオ(MV)の随所にハリーポッターシリーズへの明確なオマージュが散りばめられています。これらを探すことも、ファンにとっての楽しみの一つとなっています。
例えば、歌詞の中には「ビビディバビディ」という魔法の呪文のようなフレーズが登場したり、「僕の手を握って」という、ハリーとロン、ハーマイオニーの友情を連想させるような表現が多用されています。
また、韓国語の原題の一部にも「魔法」という言葉が含まれており、アルバム全体のコンセプトも「魔法(MAGIC)」で統一されています。
MVに見られる視覚的なオマージュ例
- 学校のプールや教室から異世界への扉が開く演出(秘密の入り口)
- 本を燃やすシーンや炎の演出(魔法による現象)
- メンバーが眼鏡をかけているスタイリング(ハリーへのリスペクト)
- 制服のような衣装コンセプト(ホグワーツの制服を現代風に解釈)
特に、「9と4分の3番線」という言葉がサビの重要な部分で歌われることで、聴き手は瞬時にファンタジーの世界観へと引き込まれます。現実と非現実の境界線が曖昧になるような演出は、まさにハリーポッターの世界観そのものと言えるでしょう。
なぜK-POPアイドルが魔法の世界を歌うのか
では、なぜ現代のK-POPアイドルが、1990年代に生まれたイギリスのファンタジー小説の設定を引用するのでしょうか。
それは、ハリーポッターが描く「成長の痛み」と「居場所探し」というテーマが、現代の若者たち(Z世代やα世代)が抱える葛藤と強く共鳴するからです。
TXTはデビュー当時から、少年から大人へと成長する過程で直面する痛みや、友情の変化を繊細に描くストーリーテリングを特徴としています。
ハリーポッターもまた、特別な力(魔法)を持ちながらも、孤独や疎外感、大人社会の理不尽さと戦いながら成長していく物語でした。
「学校」という閉鎖的な空間の中で、自分たちだけの秘密(魔法)を共有し、現実の辛さを乗り越えようとする姿は、時代や国境を超えて若者たちの心に響きます。
「9と4分の3番線」という言葉は、もはや単なる小説の設定を超え、「ここではないどこかへ行きたい」と願う全ての若者にとっての共通言語(シンボル)となっているのです。
K-POPという世界的なポップカルチャーがこのシンボルを採用したことは、作品の持つ普遍的な影響力を改めて証明していると言えるでしょう。
まとめ:ハリーポッター9と4分の3番線の意味
本記事では、ハリーポッターシリーズにおける最も象徴的な場所の一つ、「9と4分の3番線」について、その意味や由来、現実世界のスポット情報、そして現代カルチャーへの影響まで詳しく解説してきました。
9と4分の3番線は、単にホグワーツ特急が発着する物理的なプラットフォームではありません。
それは、J.K.ローリングの両親の思い出が詰まったキングズ・クロス駅を舞台に、整然としたマグルの日常(整数)の隙間に存在する、魔法という名の可能性(分数)を表現した境界線です。
作者のちょっとした記憶違いから生まれた「壁がない」という現実との矛盾さえも、今では世界中のファンが楽しむエピソードの一部となっています。
また、TXTの楽曲に見られるように、この場所は現代においても「新しい世界への旅立ち」や「辛い現実からの避難所」としての意味を持ち続けています。
映画や小説を見返す際、あるいはロンドンを訪れる機会がある際は、ぜひこの「半端な数字」に込められた温かい物語と魔法の瞬間に想いを馳せてみてください。きっと、あなただけの9と4分の3番線が見つかるはずです。
