ドラマ『教場II』において、視聴者に強烈なインパクトを与えたのが、高月彩良さん演じる堂本真矢の不可解な行動と、その後の退場劇でした。
クラスのリーダー格として描かれていた彼女が、なぜ同期の私物を盗むという行為に及んだのか?
そして、なぜ彼女だけが退学し、共犯とも言える忍野めぐみは生き残ることができたか?
そこには、単なる「出来心」では片付けられない、深い心理的な闇と、教場という特殊な空間がもたらす人間ドラマが隠されています。
本記事では、この事件について独自の考察を交えながらその核心に迫ります。
この記事のまとめ
- 堂本真矢が盗みを繰り返した理由は、金銭目的ではなく、坂根千亜季という存在への歪んだ憧れと執着にあった
→ 彼女が直前に触れた備品だけを狙っていた点からも、感情的動機が強く示唆されている。 - 坂根への感情は「恋心」と断定できるものではなく、触れられない理想像への執着やフェティシズム的な感情と解釈される
→ 人そのものではなく「触れた物」に固執した行動が象徴的。 - 警察学校という極度の緊張環境が、堂本真矢の精神的な歪みと衝動を加速させた
→ 優秀で強く振る舞う一方、内面では孤独と不安を抱えていた可能性が高い。 - 忍野めぐみとの関係は「友情」ではなく、守る側と守られる側の共依存関係だった
→ 堂本は忍野を支配的に守ることで自分の価値を保ち、忍野はそれに依存していた。 - 忍野が事件を隠そうとした可能性は示唆されているが、明確な描写はなく視聴者考察の域を出ない
→ ただし、指紋結果の不自然さから「庇った可能性」は多くの考察で指摘されている。 - 堂本真矢が退学し、忍野めぐみが残されたのは「罪を犯した者」と「弱さから沈黙した者」の決定的な違いによるもの
→ 風間教官は、衝動を制御できない人間を警察官にしないという判断を下した。 - 堂本真矢の物語は、強さを装い続けた人物が、感情を制御できずに破綻していく悲劇として描かれている
→ 盗みは彼女の本質ではなく、追い詰められた末に表出した歪みだった。
- 堂本真矢が特定の人物の備品に執着し盗み続けた心理的背景
- 忍野めぐみとの関係性が「友情」ではなく「共依存」であった理由
- 風間教官が退校届を突きつけた警察官としての適性判断の基準
- 原作小説とドラマ版の性別変更が物語に与えた決定的な影響
教場の堂本真矢が盗みをした理由となぜ退学したのか?解説

物語の序盤、成績優秀で教官からの信頼も厚かった堂本真矢の連続盗難事件。
なぜ彼女は自らの将来を棒に振ってまで犯行を重ねたのか?
その動機と行動の裏側にある心理を、具体的なシーンと共に深掘りしていきます。
坂根千亜季が触れた備品を狙った理由と彼女への恋心
堂本真矢による一連の窃盗行為には、不可解かつ明確な法則性が存在しました。
それは、盗まれた物品がすべて、乃木坂46の樋口日奈さんが演じた同期生・坂根千亜季が「直近で使用したもの」や「直接手で触れたもの」であった点です。
具体的には、音楽の授業で使用されたマレット(木琴のバチ)や、パソコンの授業で使われたマウスなどが挙げられます。
これらから窃盗の理由は金銭ではないことは明白です。
では、なぜ堂本真矢はこれらの備品を盗んだのでしょうか。
その答えは、「坂根千亜季」に対する、堂本真矢の歪んだ執着心にあります。
劇中で坂根千亜季は、誰に対しても優しく接する「清廉潔白」な存在として描かれています。
強くなることで自分を守ろうとしてきた堂本にとって、純粋に愛される存在のような坂根は、憧れの対象であると同時に、自分にとって眩しすぎる「光」のような存在だったのかもしれません。
「触れたもの」へのフェティシズムと独占欲
堂本真矢の行動は、対象人物の一部に固執するフェティシズム的な傾向が見て取れます。
坂根本人に触れることはできない、あるいは想いを伝えることはできないという抑圧された感情が、「彼女が触れたもの」を所有することで代償的に満たそうとする行動へと繋がったと考えられます。
自分のロッカーの中に、憧れの人が触れた物を隠し持つことでのみ得られる背徳的な安心感。
それは、警察学校での緊張状態の中で、精神の均衡を保つための手段となってしまっていたのです。
また、似顔絵作成の授業において、坂根の顔を描く堂本の手元が荒々しく乱れていたシーンも見逃せません。
これは単なる好意ではなく、独占欲や嫉妬、苛立ちなど暗い感情が入り混じった、複雑な感情の発露を思わせます。
盗まれた10円玉に隠された秘密と風間教官の眼力
事件の全貌が明らかになったのは、遺失物取り扱いに関する実習の授業でした。
この授業は、市民から届けられた落とし物を適切に処理するというシミュレーションでしたが、ここで坂根千亜季が拾得物として届け出た「10円玉」が、堂本真矢によって盗み出されるという事態が発生します。
しかし、この一連の流れは、すべて風間公親教官によって仕組まれた罠だったのです。
風間教官が仕掛けた心理的な罠
風間教官は、これまでの備品紛失のパターンから、犯人が「坂根千亜季の接触物」に執着していることを完全に見抜いていました。
そこで、あえて授業という公の場で、坂根に10円玉を扱わせ、犯人が手を出しやすい状況を作り出したのです。
風間教官の恐ろしさは、単に物理的な証拠を押さえるだけでなく、犯人が「我慢できずに手を出してしまう瞬間」を観察していた点にあります。
指紋検出実習での決定的な証拠
その後行われた指紋採取の実習において、盗まれたはずの10円玉から検出されたのは、予想に反して坂根千亜季の指紋でした。
本来であれば、盗んだ堂本真矢の指紋が出るはずです。
この矛盾こそが、この事件を単なる窃盗事件から、複雑な人間ドラマへと変える転換点となりました。
風間教官は、指紋が出ないことすらも想定内としており、その裏で行われた「ある人物による工作」を含めて、すべての事象を掌の上で転がしていたのです。
忍野めぐみを庇うために真実を飲み込んだ共犯関係
この事件をより複雑にしたのが、福原遥さん演じる忍野めぐみの存在です。
彼女はクラス内で体力的に劣り、いじめの標的になりかけていたところを堂本真矢に救われました。
堂本は忍野に対し、筋力トレーニングや食事管理を指導し、彼女を強くしようと献身的にサポートします。
一見すると美しい友情物語に見えますが、その実態は「守ることで優越感を得る堂本」と「守られることで依存する忍野」という、いびつな共依存関係でした。
友情が生んだ隠蔽工作
忍野めぐみは、堂本真矢が10円玉を盗む現場を目撃、あるいは察知していました。
そして、恩人である彼女を救いたい一心で、実習前に10円玉をすり替えるなどの形で堂本を庇う行動に出ます。
自分が持っていた別の10円玉と、堂本が盗んだ10円玉を入れ替えることで、堂本の指紋が出ないように工作したのです。
堂本真矢にとって、忍野めぐみは「守るべき対象」でしたが、同時に自分の犯罪を知り、それを隠してくれる「共犯者」でもありました。
彼女はこの関係性に甘え、自分を正当化する材料にしてしまったのです。
「私が彼女を強くしているのだから、多少のことは許される」という傲慢さが、無意識のうちに芽生えていたのかもしれません。
二人の関係は、警察学校という閉鎖的で過酷な環境で生まれた、美しくも悲しい絆だったといえます。
窃盗を繰り返す手癖の心理と過去のいじめによる孤独
堂本真矢がなぜこれほどまでに窃盗を繰り返してしまったのか、その根本的な原因を探るには、彼女の過去に目を向ける必要があります。
「強さ」という鎧の下にある脆弱性
堂本真矢にとって「強さ」とは、他者から傷つけられないための鎧でした。
警察学校での優秀な成績や、周囲をリードする振る舞いは、すべて「弱い自分」を隠すための必死の演出だったと考えられます。
しかし、完璧であろうとすればするほど、内面にかかるストレスは増大していきます。
彼女の行動は、極度の精神的負担の中で衝動的な行為に走ってしまう人物像として描かれており、精神的に追い詰められた状態だったのではないかと推察されます。
警察官の資質に関する重要な視点
警察官採用試験では、身体能力や知能だけでなく、身辺調査や適性検査を通じて精神的な安定性も厳しくチェックされます。
しかし、堂本のような「後天的なストレスによる衝動行為」は、入校後の訓練期間中に露呈することが多く、教場というシステム自体がそのような不適格者をあぶり出すための「ふるい」の役割を果たしているのです。
盗みという行為は、彼女にとって一時的なストレスの解放手段であり、同時に「自分は法を犯しても捕まらない」という万能感を得るための儀式だったのかもしれません。
しかし、それは警察官として最も忌むべき行為であり、彼女が積み上げてきた努力を一瞬で無に帰すものでした。
原作では男性だった?堂本真矢の設定変更による謎
ドラマ版『教場II』を深く理解する上で欠かせないのが、長岡弘樹氏による原作小説『教場』との比較です。
実は、原作において「堂本真矢」に該当するキャラクターは存在しません。
代わりに登場するのが、「堂本真佐丈(どうもと・まさたけ)」という男性の訓練生です。
つまり、ドラマ化にあたって性別が男性から女性へと変更されたのです。
性別変更がもたらした物語の深み
原作の堂本真佐丈もまた、特定の人物(女性である坂根千亜季)に執着し、窃盗を働くというプロットは共通しています。
しかし、ドラマ版で女性である堂本真矢に変更されたことで、物語に「同性間の複雑な感情」という新たなレイヤーが加わりました。
単なる異性へのストーカー的な恋心として描くのではなく、同性への憧れ、嫉妬、そして友情と恋愛の境界線にある曖昧な感情を描くことで、視聴者の想像力をより強く掻き立てる結果となりました。
| 比較項目 | 原作小説(堂本真佐丈) | ドラマ版(堂本真矢) |
|---|---|---|
| 性別 | 男性 | 女性 |
| 関係性 | 坂根への一方的な好意 | 坂根への執着と忍野との共依存 |
| 描かれ方 | やや気弱で女々しい性格 | 体育会系で勝気なリーダー格 |
特に、忍野めぐみとの関係性はドラマオリジナルの要素が強く、この改変によってラストシーンの切なさが倍増しています。
男性キャラクターであれば「愚かな男の末路」で終わっていたかもしれないエピソードが、女性キャラクター同士の物語になることで「美しくも悲しい破滅」へと昇華された点は、脚本家・君塚良一氏の手腕と言えるでしょう。
教場での堂本真矢の盗みの理由となぜ彼女は去ったのか

物語の後半では、いよいよ風間教官による「最後の審判」が下されます。
なぜ堂本真矢は警察学校を去らなければならなかったのか、そして残された忍野めぐみはどうなったのか。
高月彩良さんの演技の魅力にも触れつつ、物語の結末を詳細に解説します。
高月彩良が体当たりで演じた堂本真矢の強さと脆さ
この難役を見事に演じきったのは、女優の高月彩良さんです。
彼女は168cmという長身と、クールで凛とした顔立ちを生かし、教場の中でもひときわ目立つ存在感を放っていました。
「目の演技」で語る絶望
高月さんの演技が光ったのは、やはり風間教官に退校届を突きつけられた瞬間でしょう。
それまで張り詰めていた「強気な堂本真矢」の仮面が剥がれ落ち、一人の弱い女の子としての素顔が露呈するシーンです。
言葉少なく、ただ目だけで絶望と後悔、そして諦念を表現するその姿に、心を揺さぶられた視聴者も多かったはずです。
また、忍野めぐみに対して向ける眼差しの変化も秀逸でした。
最初は庇護対象を見るような慈愛に満ちた目でしたが、徐々に自分なしでは生きられないようにコントロールしようとする支配的な色が混じり、最後には自分の罪を共有する共犯者を見る目へと変わっていきました。
このグラデーション豊かな演技があったからこそ、堂本真矢というキャラクターは単なる悪役ではなく、人間味あふれる悲劇のヒロインとして成立したのです。
似顔絵の裏に描かれた忍野めぐみへの本当の想い
物語のクライマックスで、視聴者に大きな衝撃を与えたのが、モンタージュ作成の授業で描かれた「似顔絵」の秘密です。
堂本真矢は表向き、坂根千亜季の似顔絵を描いていましたが、その裏面には、消しゴムで消された痕跡とともに、ハーモニカを吹く忍野めぐみの姿がうっすらと残されていたのです。
風間教官の問いかけ「想いは伝えたか?」
風間教官はこの似顔絵の存在に気づき、去りゆく堂本に対して「想いは伝えたか?」と問いかけます。
このセリフは、堂本真矢の本当の想い人が誰であったのかを示唆する重要な鍵です。
坂根への執着は「憧れ」や「フェティシズム」に近いものでしたが、心の奥底で愛おしく感じ、守りたいと願っていたのは、実は忍野めぐみだったのではないでしょうか。
裏面に描いて消したという行為は、自分の感情を認めたくない、あるいは知られてはいけないという葛藤の表れです。
彼女は自分の弱さを忍野に投影し、それを守ることで自分自身を肯定しようとしていました。
しかし、その想いが歪んだ方向へ転化し、結果として二人を引き裂くことになってしまったのです。
伝えられなかった想いは、彼女が警察学校を去った後も、しばらく燻り続けるであろうことは想像に難くありません。
堂本真矢は退職で忍野めぐみが卒業できた決定的な差
事件の結末として、堂本真矢は退学し、忍野めぐみは卒業するという対照的な運命を辿りました。
なぜ、共犯とも言える忍野は許されたのでしょうか。
視聴者の中には「不公平だ」と感じる方もいるかもしれませんが、ここには風間教官なりの明確な線引きが存在します。
「作為」と「不作為」の違い
最大の理由は、犯した罪の性質にあります。
堂本真矢の窃盗は、自らの意思で積極的に他者の権利を侵害する「作為的な犯罪」です。
警察官として、法を犯す側に回る人間は即刻排除されなければなりません。
一方で、忍野めぐみの行為は、友人への情や恐怖から真実を言えなかった、あるいは証拠を隠してしまったという「弱さ」に起因するものです。
風間教官は、忍野の中に「変わる可能性」を見出しました。
堂本という強力な庇護者を失い、孤立無援となった時、彼女がそこで潰れるか、それとも自分の足で立つか。
風間はその試練を与えるために、あえて忍野を残したのです。
結果として、忍野は堂本の退学をきっかけに覚醒し、厳しい訓練を耐え抜いて卒業を勝ち取りました。堂本真矢の退場は、忍野めぐみという警察官を誕生させるための、ある種の「尊い犠牲」だったとも解釈できるのです。
坂根と忍野のどちらが好き?ファンの考察と結論
放送終了後、SNSや考察サイトでは「結局、堂本真矢はどちらが好きだったのか?」という議論が白熱しました。
これについては、公式な正解は提示されていませんが、多くのファンや批評家の間では一つの結論に達しています。
当サイトの考察
堂本真矢にとって、坂根千亜季は「理想のアイドル(偶像)」であり、忍野めぐみは「現実のパートナー(人間)」だったと考えられます。
坂根の触れたものを盗む行為は、アイドルのグッズを集める心理に近く、一方的な所有欲です。
しかし、忍野に対しては、食事を管理し、体を気遣い、共に時間を過ごすという「生活」がありました。
人間としての深い情愛は、間違いなく忍野めぐみに向けられていました。
ただ、その愛情表現の方法を知らなかった、あるいは自分がいじめられていた過去のトラウマから、支配的な関係しか築けなかったことが彼女の悲劇でした。
もし、普通の方法で想いを伝えていれば、全く違う未来があったのかもしれません。
適性なしの烙印?風間が退校届を突きつけた真意
風間教官が常に口にする「警察学校は、適性のない人間をふるい落とす場だ」という言葉。
堂本真矢に対して突きつけられた退校届は、まさにこの言葉を体現するものでした。
身体能力が高く、統率力があり、成績も優秀。
一見すると警察官に最も向いているように見える彼女ですが、風間教官が見ていたのは「心のブレーキ」の有無です。
警察官は、強大な公権力を行使する立場にあります。
拳銃を持ち、人を拘束する権限を持つ人間が、自分の衝動をコントロールできなければ、それは市民にとって脅威でしかありません。
窃盗という衝動を抑えられなかった堂本真矢は、残念ながらその資質を持っていませんでした。
風間教官の退校処分は、彼女への罰であると同時に、これ以上罪を重ねさせないための温情であり、何よりこれからの社会を守るための冷静なリスクマネジメントだったのです。
教場での堂本真矢の盗みと理由やなぜの真相まとめ
ドラマ『教場II』における堂本真矢の事件は、単なるミステリーの枠を超え、人間の心の弱さと強さについて深く考えさせるエピソードでした。
彼女が盗みを働いた理由は、坂根千亜季への歪んだ憧れと、過去のいじめ体験に起因する孤独、そしてストレスによる衝動制御の破綻が複雑に絡み合った結果です。
そして、彼女が退学し、忍野めぐみが残ったという結末は、過去の自分と決別し、弱さを認めて前に進むことこそが、本当の「強さ」であるというメッセージを私たちに伝えています。
高月彩良さんの名演によって命を吹き込まれた堂本真矢というキャラクターは、教場シリーズの中でも特に印象深い存在として、これからも語り継がれていくことでしょう。
