江戸の風情と人情、巧みなミステリーが融合した、宮部みゆきさんの傑作時代小説「茂七シリーズ」。読んでみたいけど「どの順番で読めばいいの?」と迷っていませんか。
この記事では、おすすめの読む順番とその理由を詳しく解説。さらに、全作品のあらすじや魅力的な登場人物、ファンが気になる続編の有無、高橋英樹さん主演のテレビドラマ情報まで詳しくまとめています。
- 茂七シリーズのおすすめの読む順番とその理由
- シリーズ全作品のあらすじと主な登場人物
- ドラマ化情報や他の宮部みゆき作品との興味深い関連性
宮部みゆき「茂七シリーズ」おすすめの読む順番
ここでは、シリーズが持つ独特の魅力や、物語を最大限に楽しむためのおすすめの読む順番を理由と共に詳しく解説します。各作品のあらすじや個性豊かな登場人物についても紹介しますので、これから読み始める方はぜひ参考にしてください。
茂七シリーズとは?作品の特徴と3つの魅力

宮部みゆきさんの「茂七シリーズ」は、江戸時代後期の活気あふれる町、本所深川を舞台にした人情捕物帳です。
刊行されているのは全6巻。全巻、連作短編集という点もシリーズの特徴です。
主人公は、「回向院(えこういん)の親分」として知られる岡っ引きの茂七。
彼が子分の糸吉や権三と共に、町で起こる様々な難事件に立ち向かう物語が描かれています。
しかし、このシリーズは単なる事件解決の物語ではありません。時代小説でありながら、巧みに練られたミステリー要素、心温まる人情話、そして社会の矛盾を鋭く突く社会派ドラマの側面も持ち合わせています。この多様な要素の融合こそが、茂七シリーズが多くの読者を惹きつけてやまない理由です。
茂七シリーズの3つの魅力
- 人情味あふれるキャラクター
主人公の茂七は、腕っぷしは強いものの短気で喧嘩っ早い一面も。しかし、根は優しく困っている人を放っておけない性格で、町の人々から厚い信頼を寄せられています。彼を取り巻く子分たちや妻のお鈴、長屋の住人など、個性豊かで登場人物たちも魅力です。 - 鮮やかに描かれる江戸の風情
宮部みゆきさんの真骨頂ともいえるのが、綿密な時代考証に基づいた江戸の描写です。当時の人々の暮らしぶりや価値観、町の風景が生き生きと描かれており、読者はリアリティのある江戸時代の空気感を味わうことができます。 - 現代にも通じる普遍的なテーマ
シリーズで扱われる事件は、人間の心の内に潜む闇や、社会が抱える矛盾を浮き彫りにします。描かれるテーマは江戸時代のものでありながら、現代を生きる私たちの心にも響く普遍性を持っているからこそ、深い共感と感動を与えてくれます。
読む順番のポイントと刊行順をおすすめする理由

「茂七シリーズ」を読む順番は、結論から言うと「刊行順」が最もおすすめです。
読む順番 | タイトル | 単行本刊行年 | 文庫版刊行年 |
---|---|---|---|
1 | 本所深川ふしぎ草紙 | 1991年 | 1995年 |
2 | かまいたち | 1992年 | 1996年 |
3 | 幻色江戸ごよみ | 1994年 | 1998年 |
4 | 初ものがたり | 1995年 | 1997年 |
5 | 堪忍箱 | 1996年 | 2001年 |
6 | あやし | 2000年 | 2003年 |
ただ、各作品は独立した物語として楽しめるため、どの巻から手に取っても問題ありません。
その上で、刊行順を推奨するのには理由があります。
最大のポイントは、シリーズ全体の時間の流れと刊行順がほぼ一致している点です。これにより、主人公の茂七が経験を積み、人間的に成長していく過程を自然に追体験できます。岡っ引きとして、また一人の人間として彼がどう変化していくのかを味わえます。
例えば、若き日の茂七を描く『初ものがたり』をシリーズの後半で読むことで、それまでに見てきた円熟した親分像との対比から、彼の人物像の深みをより理解できるでしょう。順番に読むことは、個々の謎解きだけでなく、茂七という男の一代記をより濃密に追体験できます。
シリーズ全作品のあらすじ紹介

ここでは、茂七シリーズを構成する全6作品の魅力とあらすじを、おすすめの刊行順にご紹介します。それぞれが独自の輝きを放つ物語の世界に、ぜひ触れてみてください。
1. 本所深川ふしぎ草紙

江戸の怪談「本所七不思議」が、人々の心を映す事件へと変わる。
作品内容・あらすじ
シリーズ第一作。江戸で古くから語り継がれる「本所七不思議」を題材に、七つの不思議な事件が描かれる連作短編集。商家主人の殺害事件に隠された娘の悲しい秘密を探る「片葉の芦」。恋を成就させたい主人のため、丑三つ時に神社へ向かった奉公人が遭遇する怪異「送り提灯」。超常的な出来事と、そこに絡む人々の業や人情を、岡っ引きの茂七が解き明かしていく。
おすすめポイント
宮部みゆきさんの時代小説家としての才能を世に知らしめた、記念碑的作品。ミステリーとしての完成度の高さはもちろん、江戸に生きる人々の息遣いが聞こえてくるようなリアルな描写が素晴らしいです。デビュー初期の瑞々しい筆致の中に、後の巨匠の片鱗が随所に感じられる、時代小説が初めての方にも最適な一冊。
出版年 | 1991年 |
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小説ジャンル | 時代小説、連作短編集、ミステリー |
受賞 | 第13回吉川英治文学新人賞(1992年)(出典:講談社 吉川英治賞公式サイト) |
2. かまいたち

闇夜の辻斬りは、人の心を斬る妖か、それとも人の姿をした鬼か。
作品内容・あらすじ
冬の江戸を恐怖に陥れる正体不明の辻斬り「かまいたち」。金品を奪わず、ただ人を斬り捨てるだけの犯行に、人々の噂は広がるばかり。ある夜、町医者の娘・おようが偶然その犯行現場を目撃してしまう。茂七が捜査を進める中、事件は思いもよらぬ様相を呈していく。表題作のほか、超能力をテーマにした2編を含む全4編を収録。
おすすめポイント
サスペンス色の強い物語が魅力の短編集。特に表題作「かまいたち」は、ミステリーとしての構成が見事で、じわじわと恐怖が募る展開から目が離せません。人間の欲望や、ふとしたきっかけで心が堕ちていく様を描き出す筆致は鋭く、宮部作品の持つダークな側面も味わうことができ、シリーズの中でも特にミステリー好きにおすすめです。
出版年 | 1992年 |
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小説ジャンル | 時代小説、短編集、サスペンス |
3. 幻色江戸ごよみ

江戸の四季を巡る十二の暦、そこには不思議と人情が咲き誇る。
作品内容・あらすじ
江戸の四季折々の風情を背景に、十二の不思議な物語が綴られる珠玉の短編集。盆市で出会った迷子の少年の秘密を描く「まひごのしるべ」、評判の美男子に求婚された器量良しとは言えない娘の運命を描く「器量のぞみ」など、各月にまつわる物語が展開される。人々のささやかな日常に起こる、少し不思議で、切なくも心温まる出来事を描く。
おすすめポイント
宮部みゆきさんの美しい情景描写が味わえる一冊。桜、花火、紅葉といった日本の美しい風景の中で、江戸の人々の喜怒哀楽が丁寧に描かれています。派手な事件はないものの、一篇一篇がまるで上質な短編映画のよう。読後、温かい気持ちになれる物語が多く、疲れた心に優しく寄り添ってくれる、宮部ワールドの真骨頂ともいえる作品集です。
出版年 | 1994年 |
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小説ジャンル | 時代小説、連作短編集、人情話 |
4. <完本>初ものがたり

若き日の茂七が駆ける!江戸の「初もの」が繋ぐ、ほろ苦い青春捕物帳。
作品内容・あらすじ
岡っ引きとしてまだ駆け出しだった頃の、若き日の茂七を描いた作品集。失敗を重ね、悩みながらも、持ち前の正義感で事件に立ち向かう初々しい茂七の姿が描かれる。鰹、白魚、柿といった江戸の四季を彩る「初もの」が各話の重要な鍵となっており、季節感豊かな物語が展開。謎の稲荷寿司屋の親父など、魅力的な脇役も登場する。
おすすめポイント
ベテラン親分としての茂七を知る読者にとって、彼の過去を知ることができる貴重な一冊。悩み、傷つきながら成長していく若き日の姿は、人間・茂七の魅力をより一層深めてくれます。江戸の食文化が豊かに描かれているのも特徴で、物語を読んでいるとお腹が空いてくること請け合い。<完本>版で読むことで、茂七の子分・糸吉の切ない恋物語も楽しめます。
出版年 | 1995年(<完本>版は2013年) |
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小説ジャンル | 時代小説、連作短編集、青春小説 |
5. 堪忍箱

決して開けてはならぬ箱。人々の心の闇が、災いを呼び起こす。
作品内容・あらすじ
人々の不平不満や愚痴を書き記した紙を入れるという「堪忍箱」。ある旧家の蔵から見つかったその古い箱は、「決して開けてはならぬ」という言い伝えとともに、人々の心を静かにかき乱し、やて悲劇を引き起こしていく。表題作のほか、なさぬ仲の親子の情愛を描く「お墓の下まで」など、人生の苦みが沁みる全八編を収録。
おすすめポイント
宮部みゆきさんのもう一つの人気時代小説シリーズ「三島屋変調百物語」とのクロスオーバーが楽しめる特別な一冊。物言わぬ「箱」が人々の猜疑心や欲望を増幅させていく様を描いた表題作は、心理サスペンスとして秀逸。人間の心の弱さや愚かさを描きながらも、どこかに救いを残す宮部節が味わえます。
出版年 | 1996年 |
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小説ジャンル | 時代小説、短編集、心理サスペンス |
6. あやし

世代は移り、茂七は歳を重ねた。孫が挑むは、人の心が産み出す新たな怪異。
作品内容・あらすじ
シリーズ最終作。時は流れ、茂七も歳をとり、岡っ引きの仕事は孫の千吉に引き継がれていた。祖父譲りの正義感と行動力を胸に、千吉が新たな時代の怪事件に立ち向かう。心の闇が具現化したかのような、九つの江戸怪奇譚を収録。茂七の時代の終わりと、新しい時代の始まりを告げる、シリーズの節目となる物語。
おすすめポイント
茂七の物語が一区切りつき、次世代へとバトンが渡される様が描かれる感慨深い一冊。祖父となった茂七の円熟した姿と、若き千吉の活躍の対比が面白い。ホラーテイストの強い物語が多く、人間の怨念や執着といった負の感情が生み出す「あやし(怪異)」にぞっとさせられます。シリーズの締めくくりとして、そして新たな物語の序章として楽しめます。
出版年 | 2000年 |
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小説ジャンル | 時代小説、短編集、怪奇譚 |
物語を彩る主な登場人物
茂七シリーズの深い魅力は、練り上げられた緻密なストーリーだけでなく、まるで江戸の町に実在するかのように生き生きとした登場人物たち。ここでは、物語の中心となる個性豊かなキャラクターたちを、より深くご紹介します。
回向院の茂七(えこういんのもしち)
本シリーズの主人公であり、本所・深川一帯を縄張りとする凄腕の岡っ引き。その名を聞けば、悪党どもが震え上がると言われるほどの親分です。人情に厚く、弱い者いじめを何よりも嫌う強い正義感の持ち主ですが、一方で短気で喧嘩っ早いという人間臭い一面も持ち合わせています。完璧な超人ではなく、時に悩み、時に間違うからこそ、町の人々から絶大な信頼を寄せられています。鋭い観察眼と粘り強い聞き込みで、複雑な事件の裏に隠された人間の哀しみまでをも解き明かしていきます。
糸吉(いときち)・権三(ごんぞう)
茂七を「親分」と心から慕い、その手足となって働く忠実な子分たちです。糸吉は少しそそっかしいところもありますが、真っ直ぐな性格で、権三と共に茂七を懸命にサポートします。彼らが岡っ引きとして、また一人の人間として成長していく姿も、シリーズを通して描かれる見どころの一つ。彼らの視点を通して語られるエピソードは、物語に温かみとユーモアを加えています。
お鈴(おすず)
茂七の妻であり、彼の最大の理解者。危険な仕事に身を置く夫を常に案じながらも、その生き方を尊重し、家庭を温かく守る存在です。彼女の存在が、茂七にとって何よりの心の拠り所となっています。多くを語らずとも、夫の苦悩を察し、静かに寄り添う姿は、物語の中で優しい光を放っています。
千吉(せんきち)
茂七の孫で、シリーズ最終作『あやし』では主人公として登場します。祖父である茂七の背中を見て育ち、その跡を継いで岡っ引きとなりました。若さゆえの未熟さはありながらも、祖父譲りの強い正義感と行動力で、新たな時代の怪事件に果敢に立ち向かっていきます。彼の活躍は、茂七の物語が次世代へと受け継がれていくことを象徴しています。
政五郎(まさごろう)
もとは茂七の元手下でしたが、後に独立して岡っ引きの親分となります。彼自身は茂七シリーズでの出番は多くありませんが、宮部みゆきの別シリーズ『ぼんくら』で主要な登場人物として活躍するため、シリーズ間の世界観を繋ぐ非常に重要な架け橋となる人物です。
稲荷鮨屋の親父(いなりずしやのおやじ)
『初ものがたり』に登場する、富岡橋のたもとで稲荷鮨の屋台を引く謎多き人物。その素性は一切不明ですが、卓越した洞察力を持ち、茂七が行き詰まった際にさりげなく事件解決の重要なヒントを授けます。彼の正体は、長らくファンの間で謎とされていましたが、後のシリーズ『きたきた捕物帖』でついに明かされることになります。
シリーズの続編は?

多くのファンが続編を待ち望んでいますが、残念ながら茂七が主人公となる直接的な続編は、2000年に刊行された『あやし』以降、発表されていません。
しかし、茂七シリーズの世界観や登場人物は、宮部みゆきさんの他の時代小説シリーズへと確かに受け継がれています。
シリーズ後の楽しみ方
茂七シリーズを読み終えた後も、その世界観は終わりません。例えば、『ぼんくら』シリーズでは、茂七の元手下だった政五郎が親分として活躍します。また、『きたきた捕物帖』では、『初ものがたり』で謎の存在だった稲荷鮨屋の親父の正体が明らかになるなど、ファンには嬉しい仕掛けが用意されています。
これらの作品を読むことで、茂七たちが生きた世界の広がりと、その後の物語をより深く楽しむことができます。
「茂七シリーズ」の順番 | 作品をもっと楽しめる関連情報
このパートでは、「茂七シリーズ」を読了した後、さらに深くその世界を味わい尽くすための特別な関連情報をお届けします。他の宮部みゆき作品との意外な繋がりを発見する楽しみや、名優・高橋英樹さん主演で映像化された際の魅力的なキャスト陣、そして多くのファンが気になる続編の有無といった、作品の世界を掘り下げていきます。一度読み終えただけでは終わらない、茂七シリーズの奥深い魅力に迫りましょう。
知るともっと面白い!他シリーズとの関連

宮部みゆきさんの時代小説が持つ大きな魅力の一つに、それぞれの物語が独立していながらも、作品の垣根を越えて登場人物や設定が緩やかにリンクする、壮大な「クロスオーバー」要素があります。茂七シリーズもその例外ではなく、他のシリーズと深く関わり合うことで、広く深い世界観を形成しています。
ぼんくらシリーズとの繋がり
茂七シリーズとの関連性が最も色濃いのが、定町廻り同心・井筒平四郎が活躍する『ぼんくら』『日暮らし』『おまえさん』から成る3部作です。このシリーズで平四郎を助ける重要な役割を担う岡っ引きの政五郎は、かつて茂七の元で下働きをしていた手下という設定になっています。
物語の中で茂七自身が直接登場することはありませんが、政五郎の口から「回向院の茂七という名親分」としてその名や教えが度々語られます。茂七の薫陶を受けた政五郎が、いかにして一人の親分として成長していったのか。その軌跡を追うことは、茂七シリーズの続編を読んでいるかのような感慨を覚えます。
きたきた捕物帖シリーズとの繋がり
宮部みゆきさんが「生涯書き続けたい」と語るシリーズ『きたきた捕物帖』。この物語では、茂七シリーズからの長年のファンにとって、最大の謎の一つだった事柄がついに解き明かされます。『初ものがたり』で、若き茂七に的確な助言を与えていた謎の稲荷鮨屋の親父の正体が、このシリーズで驚きの形で明らかになるのです。
この事実を知った時、多くの読者は再び『初ものがたり』を読み返したくなることでしょう。また、物語の舞台となる「富勘長屋」も他の作品に登場するなど、宮部ワールドのハブ空港のような役割を担う重要なシリーズです。
三島屋変調百物語シリーズとの繋がり
茂七シリーズ第5作『堪忍箱』は、江戸で百物語を聞くという趣向で人気の怪談シリーズ「三島屋変調百物語」との、いわば公式コラボレーション作品です。この作品を通じて、人情とミステリーの「茂七ワールド」と、怪異と幻想の「三島屋ワールド」がどのように交錯するのか、その見事な筆致を堪能することができます。
テレビドラマのキャストや再放送について

茂七シリーズは、その高い人気から、2001年から2003年にかけてNHK総合の看板枠であった「金曜時代劇」にて『茂七の事件簿 ふしぎ草紙』としてテレビドラマ化されました。全3シリーズが制作・放送され、主演を時代劇の名優・高橋英樹さんが務めたことで大きな話題を呼びました。原作の持つ人情味あふれる温かい世界観と、江戸の怪異が絡むミステリアスな雰囲気が、実力派キャストによって見事に映像化されています。
主なキャスト
原作のイメージを裏切らない、ベテランから若手まで豪華な俳優陣が顔を揃えました。特に、高橋英樹さんの演じる茂七は、厳しさと優しさを兼ね備えたまさに「理想の親分像」として、多くの視聴者から支持されました。
役名 | 俳優名 |
---|---|
回向院の茂七 | 高橋英樹 |
お絹(茂七の娘) | 星野真里 |
おかつ(茂七の義母) | 淡路恵子 |
稲荷鮨屋の亭主 | 原田芳雄 |
勝蔵 | 本田博太郎 |
再放送と現在の視聴方法
地上波での定期的な再放送は現在行われていませんが、シリーズの人気は根強く、BS放送などで不定期にアンコール放送されることがあります。すぐにでも視聴したいという方には、動画配信サービスがおすすめです。2025年現在、「NHKオンデマンド」にて全シリーズが見放題配信の対象となっており、いつでも好きな時に茂七の世界に浸ることが可能です。
他の宮部みゆき時代小説シリーズ一覧

茂七シリーズを読了し、その魅力の虜になった方へ。宮部みゆきさんが紡ぎ出す時代小説の世界は、まだまだ広大で奥深いものです。次に読むべき、おすすめのシリーズをいくつかご紹介します。どのシリーズも茂七シリーズとはまた違った魅力にあふれています。
次におすすめ!宮部みゆき時代小説シリーズ
- 井筒平四郎シリーズ(通称:ぼんくらシリーズ)
普段は「ぼんくら」と揶揄される怠け者の同心・井筒平四郎が、ひとたび事件となると抜群の切れ味を見せる人気シリーズ。彼の聡明な甥・弓之助とのコンビも魅力的です。茂七シリーズとの繋がりが最も深く、人情ミステリーが好きな方なら間違いなく楽しめるでしょう。 - 三島屋変調百物語シリーズ
江戸・神田にある袋物屋「三島屋」を舞台に、主人の姪・おちかが聞き手となり、訪れる人々が語る不思議な体験談を集めていくという形式の連作怪談シリーズ。人間の心の奥底に潜む闇や哀しみを、怪異譚として描き出す筆致は圧巻。ぞくりとしながらも、最後にはどこか切ない感動が残ります。 - 霊験お初捕物控シリーズ
人には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえるという不思議な力(霊験)を持つ町娘・お初が、理知的な与力・右京之介と共に超常的な難事件の謎を解くシリーズ。本格ミステリーとオカルト・ファンタジーが見事に融合した、独特の世界観がクセになります。 - きたきた捕物帖シリーズ
岡っ引き見習いの少年・北一が、相棒の喜多次と共に成長していく姿を描く、著者渾身の新シリーズ。茂七シリーズをはじめ、過去の様々な作品とのリンクが随所に散りばめられており、長年の宮部みゆきファンにとっては宝探しのような楽しみ方ができる、まさに集大成ともいえる作品です。
まとめ:宮部みゆき「茂七シリーズ」の順番
この記事では「茂七シリーズ」の魅力からおすすめの読む順番、関連情報までを解説しました。改めてお伝えすると、このシリーズは刊行順に読み進めることで、主人公・茂七の人間的な成長や彼を取り巻く人々の関係の変化を最も深く、自然に感じ取ることができます。
各作品のあらすじを追いながら、個性豊かな登場人物たちが織りなす江戸の人情とミステリーの世界にぜひ浸ってみてください。また、高橋英樹さん主演の傑作ドラマや、物語の魂が『ぼんくら』シリーズなど他の作品へ引き継がれている点も見逃せません。この記事が、あなたが茂七シリーズの奥深い世界の扉を開くための一助となれば幸いです。
- 茂七シリーズは刊行順に読むのが最もおすすめ
- 江戸の深川を舞台にした人情味あふれる捕物帳
- 巧みなミステリーや社会派ドラマの要素も楽しめる
- 他の宮部作品とクロスオーバーする壮大で魅力的な世界観
- 名優・高橋英樹さん主演でテレビドラマ化もされている
- 時代小説初心者から熱心なファンまで幅広く楽しめる不朽の傑作