宮部みゆきさんの人気時代小説、「お初(霊験お初捕物控)」シリーズの読む順番に迷っていませんか?不思議な力を持つ町娘お初が活躍するこの物語は、多くの読者を魅了し続けています。
この記事では、シリーズの正しい順番はもちろん、各作品のあらすじ、特徴や魅力、そして物語を彩る主な登場人物まで詳しく解説します。さらに、テレビドラマ化された際のキャスト情報にも触れていきますので、これから読み始める方はぜひ最後までご覧ください。
- お初シリーズの正しい読む順番
- 各作品のあらすじと主な登場人物
- ドラマや漫画などメディアミックス情報
宮部みゆき「お初シリーズ」を読む順番
霊が視える町娘お初が活躍する「霊験お初捕物控シリーズ」の基本情報と、物語を時系列で楽しむための最適な読む順番を解説します。各作品のあらすじや登場人物も紹介するので、これから読む方はぜひ参考にしてください。
霊験お初捕物控シリーズとは? 特徴と魅力

「霊験お初捕物控シリーズ」は、『火車』や『模倣犯』などで知られる直木賞作家・宮部みゆきさんが描く、全2巻で完結済みの長編時代ミステリ小説シリーズです。
順番 | タイトル | 出版年 | 文庫版 |
---|---|---|---|
1 | 震える岩 霊験お初捕物控 | 1993年 | ◯ |
2 | 天狗風 霊験お初捕物控 | 1997年 | ◯ |
物語の舞台は江戸時代後期。人には視えないものが視える不思議な力を持つ少女「お初」が、気弱な与力見習い「古沢右京之助」とコンビを組み、江戸の町で次々と起こる怪奇な事件の謎に挑んでいきます。
主に以下の3つのポイントが、宮部みゆきワールドの真骨頂ともいえる本シリーズの魅力です。
1. 怪奇とミステリの絶妙な融合
単なる捕物帖ではなく、ホラーやファンタジーの要素が巧みに織り交ぜられている点が最大の特徴です。科学では説明できない現象の謎を、お初の「霊験(れいげん)」と右京之助の論理的な推理力という、対照的なアプローチで解き明かしていく過程が読者を夢中にさせます。
2. 魅力的なキャラクターと成長物語
快活で行動的なお初と、内気で思慮深い右京之助。正反対の二人が事件を通して絆を深め、互いに影響を受けながら成長していく姿が丁寧に描かれています。読者は彼らの成長を見守りながら、物語に深く感情移入することができるでしょう。
3. 心に響く江戸の人情ドラマ
事件の裏に隠された、人々の悲しみや嫉妬、愛情といった普遍的な感情を深く掘り下げています。緻密でリアルな江戸の時代描写の中で展開される濃厚な人間ドラマは、ミステリとしての謎解きの面白さを超え、読者の心に強い感動と余韻を残します。
読む順番のポイントと理由

結論から言うと、「霊験お初捕物控シリーズ」は刊行された順番に読むのが最もおすすめです。
物語は各巻で一つの事件が完結する構成になっているため、どちらから読んでも話の筋が分からなくなることはありません。
しかし、シリーズを通して描かれる主人公お初と右京之助の関係性の深化や、登場人物それぞれの成長を存分に楽しむためには、時系列に沿って読み進めるのが最適です。
おすすめの読む順番
- 震える岩 霊験お初捕物控 (1993年刊行)
- 天狗風 霊験お初捕物控 (1997年刊行)
特に、内気だった右京之介が様々な事件を通して成長していく姿や、お初が自身の持つ不思議な力と向き合い、葛藤しながらも受け入れていく心の変化は、1作目の『震える岩』から順に読むことで、より深く感情移入できるはずです。
シリーズ全作品のあらすじ紹介

ここでは、シリーズ全2作品のあらすじと魅力を、新しい形式で詳しくご紹介します。どちらも一度読み始めたら止まらない、傑作時代ミステリです。
震える岩 霊験お初捕物控

死人憑きと少女の死、二つの怪事件が江戸の闇を照らし出す。
作品内容・あらすじ
江戸の本所深川で、死んだはずの人間が若返って蘇る「死人憑き」という怪現象が噂となる。不思議な力を感じ取った飯屋の娘お初は、与力見習いの右京之助と探索を始めるが、その矢先に油樽から少女の遺体が発見される。無関係に見えた二つの事件は、やがて百年前に起きた赤穂事件の深い因縁へと繋がっていく。
おすすめポイント
お初と右京之助、魅力的な二人が出会う記念すべきシリーズ第一弾です。怪奇現象の謎を追うミステリとして秀逸なのはもちろん、歴史上の大事件が絡む壮大なプロットには圧倒されます。凸凹コンビが信頼を育んでいく過程も丁寧に描かれており、読後には爽やかな感動が待っています。
出版年 | 1993年 |
---|---|
小説ジャンル | 時代ミステリ、怪奇小説 |
メディア化 | テレビドラマ(2024年)、漫画 |
天狗風 霊験お初捕物控

娘を拐かす天狗の正体とは?人の心の奥底に潜む妄執を描く。
作品内容・あらすじ
真っ赤な朝焼けの中、一陣の風と共に祝言間近の娘が忽然と姿を消した。人々が「神隠し」と噂する中、お初と右京之助は探索を開始。娘の嫁ぎ先に不審な点を見つけるが、第二の神隠しが発生してしまう。事件の裏には、美しさへの異常な執着が生み出した、恐ろしくも悲しい妄念が渦巻いていた。
おすすめポイント
前作以上にホラー要素が色濃く、人間の心の闇に深く切り込んだシリーズ第二弾です。嫉妬や憧れといった、誰の心にも潜む感情が暴走した時の恐ろしさが描かれており、ページをめくる手が止まりません。ゾクッとする怖さと、胸を締め付けられるような切なさが同居した、宮部みゆきならではの物語が楽しめます。
出版年 | 1997年 |
---|---|
小説ジャンル | 時代ミステリ、怪奇小説 |
メディア化 | 漫画 |
物語を彩る主な登場人物

「霊験お初捕物控シリーズ」の魅力を語る上で欠かせない、個性豊かで人間味あふれる登場人物たちを、より深くご紹介します。
お初(おはつ)
本作の主人公で、日本橋通町の一膳飯屋「姉妹屋」で働く16歳の町娘。
幼い頃に遭遇した火事がきっかけで、常人には視えない霊が視えたり、その声が聞こえたりする「霊験」を宿しました。明るく快活な性格で、困っている人を放っておけない強い正義感の持ち主です。自身の特異な能力に戸惑い、悩むこともありますが、それを人のために役立てようと怪事件に果敢に立ち向かう、芯の強い少女です。
古沢右京之助(ふるさわ うきょうのすけ)
お初の相棒役を務める与力見習い。
「赤鬼」と恐れられる厳格な吟味方与力の父を持ち、その威光の前に萎縮して自分に自信が持てずにいる内気な青年です。しかし、本来は非常に頭脳明晰で、特に数学(算学)に類まれな才能を持っています。その論理的で緻密な思考力は、怪奇現象の裏に隠された真実を見抜く大きな力となります。行動的なお初と、思慮深い右京之助は、互いの欠点を補い合う最高のコンビです。
六蔵(ろくぞう)とおよし
六蔵はお初の兄で、腕利きの岡っ引き。
血の繋がりはなく、捨て子だったお初を親が引き取り、その後、自身が面倒を見ています。お初の能力を理解し、温かく見守る数少ない人物の一人です。およしは六蔵の快活な妻で、お初と共に「姉妹屋」を切り盛りしています。二人にとってお初はかけがえのない家族であり、彼らが営む「姉妹屋」は、事件で傷ついたお初が帰るべき温かい場所として、物語の重要な基盤となっています。
根岸肥前守鎮衛(ねぎしひぜんのかみやすもり)
実在の人物でもある南町奉行。
珍しい話や不思議な出来事を収集することを趣味としており、お初の持つ不思議な力に興味を抱きます。彼がお初と右京之助を引き合わせ、事件解決のきっかけを作りました。二人を信頼し、その探索を後押しする後見人的な存在です。
オーディオブック「Audible」で無料体験で聴取可能

「霊験お初捕物控シリーズ」は、amazonのオーディオブック・Audible(オーディブル)で音声ドラマのように楽しむことができます。
ナレーターを務めるのは、数々のアニメや映画で活躍する超人気声優の沢城みゆきさん。プロの表現力豊かな朗読が、お初の活発さや右京之助の繊細さ、そして物語に潜む不気味な雰囲気を臨場感たっぷりに再現。これまで活字でしか味わえなかった江戸の怪奇な物語を耳で堪能することができます。
Audible版「霊験お初捕物控シリーズ」の魅力
- 豪華ナレーター:沢城みゆきさんの七色の声が物語を彩る!
- 圧倒的没入感:効果音や演出で、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような体験。
- ながら聴きが可能:通勤中や家事をしながら、いつでもどこでも物語の世界へ。
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宮部みゆき お初シリーズの順番以外の情報
本シリーズは小説だけでなく、テレビドラマや漫画など様々な形で楽しめます。ここでは他の宮部作品との関連性やメディアミックス情報、さらに宮部みゆきさんの他の時代小説シリーズについてもご紹介します。
他の時代小説シリーズとの関連は?

「霊験お初捕物控シリーズ」は、基本的にそれ自体で完結した物語であり、「ぼんくらシリーズ」や「三島屋変調百物語シリーズ」といった、宮部みゆきさんの他の人気時代小説シリーズとの直接的なキャラクターの登場や物語の交差はありません。
ただし、シリーズのファンであれば知っておきたい、興味深い繋がりが存在します。それは、宮部さんの初期の短編集『かまいたち』に収録されている作品との関係です。
短編集『かまいたち』に収録されている「迷い鳩」と「騒ぐ刀」の2編には、同じく不思議な力を持つ「お初」という名の少女が主人公として登場します。これらは「霊験お初捕物控シリーズ」の原型、あるいはプロトタイプともいえる作品です。
ただし、兄の名前が「直次」であるなど設定に違いがあり、物語は繋がっていません。いわばパラレルワールドのような関係性ですが、シリーズの原点を知る上で非常に興味深い作品と言えるでしょう。
このように他のシリーズとの直接的な関連はないため、どの作品から読んでも問題ありません。
テレビドラマ化された際のキャスト

「霊験お初捕物控シリーズ」の第一弾『震える岩』は、2024年5月4日にテレビ朝日開局65周年記念ドラマプレミアム『霊験お初〜震える岩〜』として放送され、大きな反響を呼びました。(出典:テレビ朝日公式サイト)
原作の世界観を大切にしながら、豪華キャスト陣がキャラクターに新たな息吹を吹き込みました。特に主演の二人は原作ファンからもイメージ通りと高く評価されています。
役名 | キャスト |
---|---|
お初 | 上白石萌音 |
古沢右京之介 | 京本大我(SixTONES) |
六蔵 | 満島真之介 |
根岸肥前守鎮衛 | 坂東彌十郎 |
古沢武左衛門重正 | 髙嶋政宏 |
およし | 野波麻帆 |
脚本は浜田秀哉氏、演出は豊島圭介氏が担当し、原作の持つ怪奇的な雰囲気と江戸の人情ドラマを見事に映像化しています。小説を読んだ後に視聴すれば、物語の解像度がさらに上がり、二度楽しめること間違いなしです。
漫画版『霊験お初捕物控』もおすすめ

活字の世界をビジュアルでも楽しみたい、という方には漫画版がぴったりです。繊細で美麗な絵柄が人気の坂口よしを氏によってコミカライズされており、秋田書店のプリンセス・コミックスDXから刊行されています。
- 霊験お初捕物控(全4巻) – 『震える岩』を原作とした物語
- 天狗風〜霊験お初捕物控〜(全2巻) – 『天狗風』を原作とした物語
坂口氏の描くお初は活発さと可憐さが同居しており、右京之介は知的な雰囲気が漂っていて、まさにイメージ通りです。小説で描かれた江戸の町の風景や、お初が視る不可思議な世界のビジュアルは、漫画ならではの表現で、新たな発見と感動を与えてくれます。小説と合わせて楽しむことで、作品世界への没入感がより一層深まるでしょう。
宮部みゆき 時代小説シリーズ一覧

「霊験お初捕物控シリーズ」をきっかけに、「もっと宮部みゆきの時代小説が読みたい!」と感じた方のために、他の代表的な人気シリーズをご紹介します。どのシリーズも独自の世界観と深い魅力を持っています。
ぼんくらシリーズ
江戸・深川の鉄瓶長屋を舞台に、人柄は良いものの「ぼんくら」と揶揄される同心・井筒平四郎が、甥で切れ者の弓之助ら周囲の人々の助けを借りながら、管轄内で起こる難事件に挑む人情ミステリシリーズです。派手な立ち回りはありませんが、人々の心の機微を丁寧に掬い取り、事件の真相に迫っていく展開はじっくりと物語を味わいたい方におすすめです。
きたきた捕物帖シリーズ
上記「ぼんくらシリーズ」の未来の物語として描かれるシリーズ。主人公は、岡っ引き見習いの気弱な少年・北一。ひょんなことから出会った謎の男・喜多次とコンビを組み、事件や不思議な出来事を解決しながら成長していく姿を描きます。過去のシリーズの登場人物が顔を出すこともあり、ファンにはたまらない作品です。
三島屋変調百物語シリーズ
宮部みゆき時代小説のもう一つの柱ともいえる大人気怪談シリーズ。江戸の袋物屋「三島屋」を訪れる人々が、主人の姪・おちかを相手に、胸の内にしまってきた不思議で恐ろしい体験談を語る「百物語」形式で物語が進行します。人の心の奥底に潜む闇や情念を描き出し、背筋が凍るような恐怖と深い感動が味わえる、宮部ワールドの真骨頂です。
茂七シリーズ
『本所深川ふしぎ草紙』などを含む、岡っ引きの茂七親分が活躍するシリーズ。江戸の本所・深川に伝わる「七不思議」になぞらえた事件など、江戸の風情や人情を色濃く感じられる作品群です。心温まる話から少し切ない話まで、バラエティに富んだ物語が楽しめます。
まとめ:宮部みゆき「お初シリーズ」を読む順番
今回は宮部みゆきさんの「お初シリーズ」、正式名称「霊験お初捕物控シリーズ」について、読む順番を解説しました。本シリーズの特徴であり最大の魅力は、霊が視える少女お初が怪事件に挑むという設定と、江戸の人々の人情が織りなす深い物語です。
各作品のあらすじを読んで興味を持った方も多いでしょう。主人公のお初や相棒の右京之介といった主な登場人物たちの関係性の変化を楽しむためにも、ぜひ刊行順に読んでみてください。
また、上白石萌音さんや京本大我さんなど豪華なキャストで映像化されたテレビドラマも、原作のファンなら見逃せません。小説を読んだ後に視聴すると、より一層楽しめるはずです。この記事が、あなたの読書体験をより豊かなものにする一助となれば幸いです。
- お初シリーズは刊行順の『震える岩』→『天狗風』で読む
- 時系列で登場人物の成長や関係性の変化が楽しめる
- 物語は各巻で完結しているためどちらから読んでも筋は追える
- 原型となった短編が短編集『かまいたち』に収録されている
- 2024年にテレビドラマ化され漫画版も刊行されている