あさのあつこさんの時代小説「針と剣」は縫箔屋事件帖とも呼ばれており、人気のシリーズです。この記事では「針と剣」シリーズの読む順番や各作品のあらすじ、登場人物について詳しく解説していきます。
また、気になる最新刊の予定、全作品一覧(文庫本情報)、他の時代小説シリーズ一覧もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 「針と剣」シリーズの読む順番
- 全3作品のあらすじと文庫本情報
- 最新刊の発売情報と著者の他シリーズ
あさのあつこ「針と剣シリーズ」の順番と概要

「針と剣」シリーズは、江戸の深川を舞台にした青春時代ミステリーです。まずは、このシリーズを読む順番や基本情報を確認しましょう。
針と剣シリーズの読む順番と全作品一覧【文庫本の有無も】
あさのあつこさんの「針と剣」シリーズは、登場人物たちの成長と関係性の変化が物語の核となるため、刊行順に読むのが最もおすすめです。
現在のところ、シリーズは全3作品が刊行されています。
| 順番 | タイトル | 単行本発売日 | 文庫本の有無 |
|---|---|---|---|
| 1 | 風を繡う 針と剣 縫箔屋事件帖 | 2016年8月5日 | ◎ |
| 2 | 風を結う 針と剣 縫箔屋事件帖 | 2020年7月10日 | ◎ |
| 3 | 風を紡ぐ 針と剣 縫箔屋事件帖 | 2023年1月30日 | ◎ |
第1作、第2作に続き、第3作『風を紡ぐ』の文庫本も2025年4月に発売され、シリーズ全作品が文庫で揃えられるようになりました。これから読み始める方にも手に取りやすくなっています。
読む順番のポイントと理由
このシリーズは、各巻で一つの事件が解決する構成になっていますが、主人公おちえと一居の人間関係や、一居が抱える過去の謎は、巻を追うごとに少しずつ進展していきます。
特に、ミステリー要素以上に、二人が互いに影響を受けながら成長していく「青春小説」としての側面が色濃い作品です。そのため、第1作『風を繡う』で二人が出会い、互いを意識し始める様子から順番に追っていくことで、第2作、第3作と進むにつれて深まる絆や葛藤に、より深く感情移入できます。
順番通りに読まないとダメ?
もちろん、どの巻から手に取ってもミステリーとして楽しむことは可能です。しかし、登場人物たちの心情の機微や関係性の「もどかしさ」が本シリーズの醍醐味であるため、途中から読むと、その魅力が半減してしまう可能性があります。面白さを最大限に味わうためには、ぜひ刊行順に読むことをおすすめします。
針と剣シリーズとは?基本情報と魅力を紹介
「針と剣」シリーズは、江戸の深川を舞台に、あでやかな刺繍(縫箔)の世界と、鋭い剣の世界という対照的な要素を織り交ぜた、あさのあつこさんによる青春時代ミステリーです。
著者は、累計1000万部を超えるベストセラー『バッテリー』シリーズで知られるあさのあつこさん。児童文学から一般小説、時代小説まで幅広く手がける人気作家です。
本シリーズは、第1作『風を繡う』が2016年に刊行されて以来、続々重版がかかる人気作となっています。2025年10月現在、全3巻が刊行されており、すべて長編小説です。出版社は実業之日本社。第3作の結末は続編を予感させるものとなっており、第四作もすでに連載中です。
残念ながら、本シリーズのドラマ化や映画化といったメディアミックスの情報はありません(2025年10月時点)。
シリーズの魅力
「針と剣」シリーズの魅力を挙げると、主に以下の3点です。
魅力1:対照的な「針」と「剣」の融合
最大の魅力は、繊細で華やかな縫箔(針)の世界と、厳しく鋭い剣術(剣)の世界という、水と油のような二つの要素がみごとに融合している点です。これは単なる設定ではなく、「職人」と「武士」という二人の主人公の生き様そのものを象徴しており、物語に深い奥行きを与えています。
魅力2:もどかしくも爽やかな青春模様
闊達な町娘おちえと、影を持つ元武士一居。二人の関係は、ファンの間でも「爽快」「キュンキュンする」と評される一方で、なかなか進展しません。この「もどかしさ」こそが、あさのあつこさんが描く青春の醍醐味です。互いに惹かれながらも、それぞれの葛藤や事件に直面する二人を、思わず応援したくなります。
魅力3:軽やかで読みやすい「時代ミステリー」
「時代小説は難しそう」というイメージを覆す、軽やかでみずみずしい筆致が特徴です。「読みやすい」「一気読みした」という声が多く、時代小説に馴染みのない方への入り口としても最適です。それでいて、ミステリーの真相は「意外な犯人」と驚きがあり、読後感は爽快ながらも、人間の業や葛藤も描かれています。
一作目『風を繡う 針と剣 縫箔屋事件帖』のあらすじと登場人物を紹介
剣才の町娘と、針を志す若侍。二つの魂が交わる、江戸青春ミステリー開幕。
作品内容・あらすじ
深川の縫箔屋「丸仙」の娘おちえは、家業の繊細な針仕事より剣術が生き甲斐な町娘。ある日、武士を捨て職人になりたいと若侍・吉澤一居が丸仙に弟子入りを志願する。おちえが彼に惹かれ始めた矢先、若い娘を狙う辻斬り事件が頻発。不穏な影は「丸仙」にも忍び寄るー。対極の世界に生きる二人が、葛藤し成長しながら江戸の闇の謎に迫る。
主な登場人物
おちえ
縫箔屋「丸仙」の娘。家業より剣術に夢中な、真っ直ぐで闊達な少女。道場の男衆を凌ぐ剣才を持つ。一居の登場に心を揺らし、事件にも首を突っ込んでいく。
吉澤一居(いちい)
武家の次男坊だが、身分を捨て縫箔職人を志す。丸仙に弟子入りする。物静かな佇まいの内に、優れた剣の腕と秘密の過去を隠し持つ美青年。
当サイトおすすめの理由
時代小説特有の堅苦しさを感じさせない、みずみずしい筆致が最大の魅力です。「時代小説は難しそう」と敬遠している方にこそ、最初の一冊としておすすめします。主人公おちえの、悩みを抱えながらも竹を割ったような性格が心地よく、読者を引き込みます。
繊細な縫箔(刺繍)の描写が非常に美しく、江戸の職人世界の空気感を鮮やかに感じられるのもポイントです。ミステリー、青春、そして淡い恋模様が絶妙なバランスで描かれており、読後感は非常に爽快。「一気読みした」という声が多いのも納得で、ページをめくる手が止まらなくなる作品です。
| 出版年 | 2016年 |
| 小説ジャンル | 時代小説 / 青春ミステリー |
| 小説形式 | 長編 |
| Audible配信 | ◎ 聴き放題対象 |
二作目以降のあらすじとポイントを紹介
第2作『風を結う 針と剣 縫箔屋事件帖』
明かされる過去の影。町医者の死が、二人の絆を試す。
作品内容・あらすじ
丸仙を訪れた町医者・宗徳が、一居を見て「知人に似ている」と取り乱し、直後に謎の死を遂げる。宗徳は一居の過去を知っていたのか。おちえと一居が不審死の謎を追う。
当サイトおすすめの理由
一居のミステリアスな過去が深掘りされ、物語にぐっと引き込まれます。彼がなぜ武士を捨てたのか、その片鱗が見え隠れし、おちえとの関係も微妙に変化します。ミステリー要素も前作より強まり、人間ドラマとしての深さが増した一冊です。
| 出版年 | 2020年 |
| 小説ジャンル | 時代小説 / 青春ミステリー |
| 小説形式 | 長編 |
| Audible配信 | ◎ 聴き放題対象 |
第3作『風を紡ぐ 針と剣 縫箔屋事件帖』
消えた花嫁衣裳と竹刀。そして、おちえに求婚者現る!?
作品内容・あらすじ
おちえの竹刀が盗まれ、父が手がけた花嫁衣裳にも魔の手が迫る。一居すら気づけなかった賊の正体とは。一方、おちえに突然の求婚者が現れ、恋模様も風雲急を告げる。
当サイトおすすめの理由
読者レビューでも「意外な犯人」と声があるように、ミステリーの捻りが効いています。それ以上に、おちえの恋と人生の岐路が描かれ、ハラハラします。一居への想いを抱えたまま現れた求婚者にどう向き合うのか。二人の関係の進展を願う読者には必読の第3弾です。
| 出版年 | 2023年 |
| 小説ジャンル | 時代小説 / 青春ミステリー |
| 小説形式 | 長編 |
| Audible配信 | ◎ 聴き放題対象 |
あさのあつこ「針と剣シリーズ」の順番 | 関連情報を深堀り

シリーズの基本を押さえたところで、さらに深く掘り下げていきます。最新刊の動向や、著者あさのあつこさんの魅力、そして他にも楽しめる時代小説シリーズについて、関連情報を詳しくご紹介します。
シリーズ最新刊と次巻の予定
「針と剣」シリーズを読み終えた方が最も気になるのは、「第4作(続編)は発売されるのか?」という点でしょう。
既刊の最新刊情報
- 単行本最新刊:
第3作『風を紡ぐ 針と剣 縫箔屋事件帖』(2023年1月30日 発売) - 文庫本最新刊:
第3作『風を紡ぐ 針と剣 縫箔屋事件帖』(2025年4月4日 発売)
第4作(続編)の発売予定は?
2025年10月現在、シリーズ第4作目となる続編(新刊)の発売予定に関する公式な発表はありません。
あさのあつこさんは、「弥勒」シリーズや「おいち不思議がたり」シリーズなど、他にも多くの人気時代小説シリーズを並行して執筆されています。そのため、各シリーズの新刊が数年おきになることも珍しくありません。
しかし、シリーズ第4弾「風を織る」の連載は開始されています。
縫箔屋・丸仙の娘おちえは、縁談が持ち込まれる年齢になった。相変らず剣術の稽古に励んでいたある日、父・仙助が倒れたという知らせが――人気時代小説〈針と剣 縫箔屋事件帖〉シリーズ第4弾!
公式サイトなどで連載の経過をチェックしつつ、新刊の発行を楽しみに待ちましょう。
著者あさのあつこのプロフィールと作風・評価
「針と剣」シリーズを生み出した著者・あさのあつこさんについて、改めてその経歴と作品世界に迫ります。
プロフィール
あさのあつこさんは、1954年に岡山県美作町(現・美作市)で生まれました。青山学院大学文学部を卒業後、岡山市で小学校の臨時教師として3年間勤務されます。結婚・出産を経て、子育て中の36歳で本格的に執筆を開始し、1991年に『ほたる館物語』で作家デビューを果たしました。
主な受賞歴と代表作
あさのあつこさんは、児童文学から一般小説、時代小説まで、ジャンルを超えて数々の文学賞を受賞されています。
- 『バッテリー』シリーズ
- 『バッテリー』で第35回野間児童文芸賞 受賞
- 『バッテリーII』で第29回日本児童文学者協会賞 受賞
- シリーズ全6巻で第50回小学館児童出版文化賞 受賞
- 『たまゆら』
- 第16回島清恋愛文学賞 受賞
- 時代小説各シリーズ
- 「弥勒」シリーズ、「おいち不思議がたり」シリーズ、「闇医者おゑん秘録帖」シリーズが評価され、第13回日本歴史時代作家協会賞のシリーズ賞を受賞(2024年)
代表作の『バッテリー』は累計1000万部を超える大ベストセラーとなり、映画化、テレビドラマ化、アニメ化もされました。
作風と評価
あさのあつこさんの作品に共通するテーマは、「服従しない少年少女」であり、悩み、葛藤しながらも自分の意志で道を切り開こうとする主人公の姿を描く点にあります。このテーマは、『バッテリー』のような現代の青春小説だけでなく、「針と剣」シリーズのおちえや一居のような時代小説の登場人物にも色濃く反映されています。
その作風は、「爽快」「読みやすい」と評される軽やかな筆致が特徴です。一方で、一部では「ティーン向け」といった賛否両論の声も見られます。
確かに、重厚な歴史考証や複雑怪奇なミステリーを求める方には、物足りなく映るかもしれません。しかし、その「読みやすさ」こそが、時代小説への敷居を下げ、幅広い層の読者を惹きつけるあさのあつこ作品の大きな強みであると言えるでしょう。
他の時代小説・シリーズ一覧
「針と剣」シリーズで初めてあさのあつこさんの時代小説に触れた方へ、他にもおすすめしたい人気の時代小説シリーズをご紹介します。あさのあつこさんは非常に多作で、魅力的なシリーズを多数刊行されています。
弥勒(みろく)シリーズ
闇を抱えた凄腕の同心・木暮信次郎が、江戸の難事件に挑むシリアスな捕物帖。あさのあつこさんの時代小説で最も巻数が多く、代表的なシリーズの一つです。
おいち不思議がたりシリーズ
人の死の「刻」が見える不思議な力を持つ少女おいちが、岡っ引の仙五郎と共に事件の真相に迫ります。「針と剣」シリーズの読者レビューでは、本作の仙五郎親分が「針と剣」にも登場するとの言及があり、世界観がリンクしている可能性が指摘されています。
闇医者おゑん秘録帖シリーズ
美しくも謎多き女医おゑんが、江戸の闇に生きる人々をその医術で救う医療ミステリー。
その他シリーズ一覧
- 燦(さん)シリーズ
小藩・高月を舞台に、若き藩主・日向と彼を支える人々が藩の存亡をかけて奮闘する物語。 - 小舞藩(こまい はん)シリーズ
『火群のごとく』から始まる、小舞藩を舞台にしたシリーズ。 - 天地人(てんちじん)シリーズ
『天を灼く』から始まる、戦国時代を背景にしたシリーズ。 - 薫風(くんぷう)ただなかシリーズ
『薫風ただなか』『烈風ただなか』の2作品。 - えにし屋春秋シリーズ
一度は離縁した夫婦の「縁」を繋ぎ直す「えにし屋」を描いた人情噺。 - おもみいたしますシリーズ
天才的な揉み師のお梅が、客の身体と心の闇をほぐしていく物語。
「針と剣」シリーズが気に入った方は、同じく若い女性が主人公の「おいち不思議がたり」シリーズや、ミステリー要素の濃い「弥勒」シリーズから読み進めてみるのもおすすめです。
まとめ:あさのあつこ「針と剣シリーズ」は順番通りに
あさのあつこさんの「針と剣」シリーズについて、読む順番や作品の魅力、関連情報をご紹介しました。
- 「針と剣」シリーズは刊行順の全3作品で、読む順番は『繡う』→『結う』→『紡ぐ』が最適
- 剣才ある町娘おちえと武士を捨てた職人一居の青春時代ミステリー
- シリーズは単行本・文庫本・オーディブルで楽しめる
- 最新刊は第3作『風を紡ぐ』で、次巻第4作の予定は未定
- 著者あさのあつこさんには『弥勒』や『おいち』など他の人気時代小説も多数
「針と剣」シリーズは、「縫箔屋事件帖」という副題の通り、美しい刺繍の世界と剣術が交差する独特の世界観が魅力です。また、各巻のあらすじで触れたように、魅力的な登場人物たちが織りなす物語は、巻を追うごとに深まっていきます。
記事で紹介した全作品一覧や他の時代小説シリーズ一覧なども参考にしながら、ぜひあさのあつこさんの時代小説の世界観を堪能してください。
