髪結い伊三次捕物余話を読む順番は?全作あらすじと魅力を解説

髪結い伊三次捕物余話を読む順番は?全作あらすじと魅力を解説

髪結い伊三次捕物余話シリーズとは?
シリーズのおすすめの読む順番は出版順
あらすじと主要な登場人物を全作品紹介

宇江佐真理さんの代表作、髪結い伊三次捕物余話シリーズをどの順番で読めばいいか迷っていませんか?この記事では、おすすめの読む順番はもちろん、出版順に沿ったシリーズ全作品一覧をご紹介します。さらに、ドラマ化もされた各作品のあらすじや魅力的な登場人物を全作品紹介。作者のプロフィールや作風にも触れながら、物語の魅力を深く掘り下げていきます。

目次

髪結い伊三次捕物余話を読む順番と作品一覧

髪結い伊三次捕物余話を読む順番と作品一覧
イメージ画像:エンタメMAG

本シリーズを最大限に楽しむためには、読む順番が非常に重要です。ここでは、物語の全体像から各作品の魅力、そしてドラマ化情報まで、シリーズの世界に深く浸るための情報をお届けします。まずは、この物語がどのような話なのか、その概要から見ていきましょう。

髪結い伊三次捕物余話シリーズとは?

『髪結い伊三次捕物余話』は、作家・宇江佐真理さんによる江戸時代を舞台にした人情時代小説シリーズです。1995年に「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞したデビュー作から始まり、多くの読者に愛され続けてきました。

主人公は、店舗を持たない「廻り髪結い」の伊三次(いさじ)。彼は髪結いを本業としながら、北町奉行所同心・不破友之進(ふわ とものしん)の小者(密偵)としての裏の顔を持ちます。町で起こる様々な事件の解決に奔走する一方で、芸者の恋人・お文(おぶん)との恋模様や、江戸に生きる人々の喜びや悲しみが丁寧に描かれているのが大きな特徴です。

単なる捕物帳ではなく、登場人物たちが物語と共に歳を重ね、結婚、出産、そして子供たちの成長といった人生の変遷が描かれる大河ドラマのような側面も持っています。法では裁けぬ人の心の機微や、市井の人々の温かい人情が、胸に深く染み渡る作品です。

このシリーズのポイント

  • 事件解決がメインの「捕物帖」ではなく、人情話が中心の「捕物余話」
  • 主人公だけでなく、周りの人物も作中で歳を重ねていく
  • 江戸の町並みや季節の移ろいの描写が豊かで美しい

シリーズの魅力と読者の感想

本シリーズ最大の魅力は、やはり登場人物たちの人間味あふれる姿と、彼らが織りなす人間関係の深さにあると言えるでしょう。主人公の伊三次とお文、不破夫妻、そして彼らの子どもたちまで、それぞれの人生が丁寧に描かれ、読者はまるで家族の成長を見守るかのような気持ちになります。

特に、最初は恋人同士だった伊三次とお文が夫婦となり、様々な困難を乗り越えながら絆を深めていく過程は、多くの読者の心を掴みました。また、事件を通して描かれる江戸庶民のささやかな幸せや哀しみは、現代に生きる私たちの心にも通じるものがあります。

【読者の声】
「時代小説でありながら、描かれている悩みや葛藤は現代と同じ。まるで現代のファミリーストーリーを読んでいるようでした。」
「登場人物がみんな魅力的で、特に女性たちが自分の意見をはっきり言うのが気持ちいい。」
「作者が亡くなられて、もうこの続きが読めないのが本当に残念でなりません…。」

このように、単なる時代小説の枠を超え、普遍的な家族の物語として共感を呼んでいる点が、長く愛され続ける理由です。

シリーズのおすすめの読む順番は出版順

シリーズのおすすめの読む順番は出版順
イメージ画像:エンタメMAG

結論から言うと、このシリーズは出版された順番で読むことをおすすめします。

なぜなら、前述の通り、この物語は登場人物たちがリアルタイムで歳を重ねていくからです。

#タイトル単行本発売日文庫本発売年
1幻の声1997年4月2000年
2紫紺のつばめ1999年2月2002年
3さらば深川2000年7月2003年
4さんだらぼっち2002年1月2005年
5黒く塗れ2003年9月2006年
6君を乗せる舟2005年3月2008年
7雨を見たか2006年11月2009年
8我、言挙げす2008年7月2011年
9今日を刻む時計2010年7月2013年
10心に吹く風2011年7月2014年
11明日のことは知らず2012年8月2015年
12名もなき日々を2013年11月2016年
13昨日のまこと、今日のうそ2014年9月2016年
14竈河岸2015年10月2018年
15擬宝珠のある橋2016年3月

※14作目の『月は誰のもの』は文庫書き下ろしのため、単行本版の順番からは外れることがあります。単行本15作目『擬宝珠のある橋』に収録されています。

伊三次とお文の関係が進展し、子どもが生まれ、その子どもたちが成長して新たな物語が生まれる…というように、シリーズ全体がひとつの大きな時の流れの中にあります。

特に重要なのが、シリーズ第9作『今日を刻む時計』です。この作品では物語の時間が一気に10年進むため、順番を飛ばして読んでしまうと、人間関係やキャラクターの状況が全く分からなくなってしまう可能性があります。

読む順番を間違えると…

順番を間違えてしまうと、「この子どもは誰?」「なぜこの二人が夫婦に?」といった混乱が生じ、物語の面白さが半減してしまいます。シリーズの魅力を最大限に味わうためにも、必ず第1作『幻の声』から順番に読み進めてください。

あらすじと主要な登場人物を全作品紹介

1. 幻の声

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伊三次とお文、運命の出会いと捕物余話の幕開け。

作品内容・あらすじ
廻り髪結いの伊三次は、北町奉行同心・不破友之進の手先も務める。芸者のお文に心を寄せながら、江戸の町で起こる事件の解決に奔走する。呉服屋の一人娘誘拐事件の下手人として名乗り出た元芸者。彼女が庇う男の影とは…。選考委員満場一致でオール讀物新人賞を受賞した、シリーズの原点。

見どころ・注目ポイント
主人公・伊三次の人物像や、彼を取り巻く人間関係の基礎がここで描かれます。特に、伊三次と深川芸者・お文の粋で焦れったい恋模様は必見です。まだ夫婦になる前の、二人の微妙な距離感を味わえるのはこの巻ならでは。記念すべきシリーズ第一作です。

出版年1997年4月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳
受賞第75回オール讀物新人賞受賞(表題作「幻の声」)

2. 紫紺のつばめ

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すれ違う伊三次とお文の心、深まる謎と事件。

作品内容・あらすじ
材木商・伊勢屋からの度重なる世話の申し出に、心が揺れる芸者のお文。一方、伊三次は頻発する幼女殺しの捜査に忙殺され、二人の間には溝が広がっていく。そんな中、伊三次に殺人の嫌疑がかけられてしまう。恋、そして事件の行方は。

見どころ・注目ポイント
伊三次とお文の関係に最初の大きな試練が訪れます。互いを想いながらもすれ違ってしまう二人の姿が切なく描かれます。また、伊三次が殺人容疑者となる展開は緊迫感があり、ハラハラしながら読み進めることになります。二人の絆が試される重要な一冊です。

出版年1999年2月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳
メディア化1999年 テレビドラマ化

3. さらば深川

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炎に包まれるお文の家、二人の運命が大きく動く。

作品内容・あらすじ
すれ違いを乗り越え、よりを戻した伊三次とお文。しかし、お文に後添えを断られた材木商・伊勢屋の嫉妬が事件を招き、お文の家が炎上。愛するお文を助けるため、伊三次は燃え盛る炎の中に飛び込む。二人の未来は、そして舞台は深川から新たな場所へ。

見どころ・注目ポイント
シリーズの大きな転換点となる巻です。この巻の出来事を経て、伊三次とお文はついに所帯を持つ決意を固めます。芸者「文吉」として生きてきたお文が、一つの大きな決断を下す場面は感動的。物語が大きく動き出す、ファン必読の巻です。

出版年2000年7月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

4. さんだらぼっち

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夫婦となった二人、新しい命のきざしと新たな事件。

作品内容・あらすじ
念願叶って夫婦となった伊三次とお文。廻り髪結いの女房として堅気の暮らしを始めるが、慣れない生活に戸惑うお文。そんな中、お文の顔見知りの子どもが犠牲になる事件が発生する。伊三次には弟子ができ、そしてお文のお腹には新しい命が宿る。

見どころ・注目ポイント
晴れて夫婦となった二人の新婚生活が描かれます。芸者だったお文が、慣れない長屋暮らしに奮闘する姿が微笑ましいです。掏摸の直次郎の恋物語など、脇を固めるキャラクターたちのエピソードも充実。そして、ラストで明らかになるお文の懐妊は、シリーズの新たな喜びとなります。

出版年2002年1月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

5. 黒く塗れ

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誕生の喜びと、迫りくる出産の試練。

作品内容・あらすじ
伊三次の主である同心・不破友之進夫妻に待望の女の子が誕生する。一方、伊三次の妻・お文も出産を間近に控えていた。しかし、お腹の子は逆子。伊三次は大きな不安を抱えながらも、人斬りを請け負う下手人の捕物に向かう。無事に子は生まれるのか。

見どころ・注目ポイント
伊三次とお文にとっての最初の子ども、長男・伊与太の誕生が描かれる重要な巻です。逆子という困難な状況での出産シーンは、手に汗握る展開。家族が増える喜びと、親になる責任の重さを感じさせられます。不破家にも長女・茜が生まれ、世代交代の兆しが見え始めます。

出版年2003年9月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

6. 君を乗せる舟

世代交代の予感、息子・龍之進の初恋と成長。

作品内容・あらすじ
同心・不破の息子、龍之介が元服し「龍之進」となる。同心見習いとして、世間を騒がす「本所無頼派」の捕縛に乗り出す。仲間と「八丁堀純情派」を結成し捜査を進める中、淡い恋心を寄せる娘・あぐりと再会する。若き龍之進の初恋の行方は。

見どころ・注目ポイント
この巻から、伊三次たちの世代から、その子どもたちの世代へと物語の視点が少しずつ移っていきます。不破龍之進の甘酸っぱい初恋と、同心見習いとしての成長が瑞々しく描かれます。親世代とはまた違った、若者たちの活躍が新鮮な一冊です。

出版年2005年3月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

7. 雨を見たか

父から子へ、受け継がれる想いとそれぞれの道。

作品内容・あらすじ
江戸で狼藉を働く「本所無頼派」の捜査は続く。不破龍之進ら若き同心見習いたちは、上司の目を盗んでの張り込みで、辻斬り事件の尻尾を掴む。一方、父である伊三次は、船頭から重要な証言を聞き出す。親子の視点から事件の真相に迫っていく。

見どころ・注目ポイント
伊三次と不破友之進、そしてその息子である伊与太と龍之進。二つの世代が、それぞれの立場で事件に関わっていく様子が巧みに描かれています。親から子へと受け継がれていくもの、そして子が親の背中を見て成長していく姿が胸を打ちます。シリーズの厚みが増す一冊です。

出版年2006年11月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

8. 我、言挙げす

若き同心・龍之進、正義と現実の狭間で苦悩する。

作品内容・あらすじ
番方若同心となった不破龍之進。優秀な先輩同心に憧れるが、その裏には幕府の密偵の影が。さらに某藩の姫君の失踪事件では、お家騒動という大きな壁にぶつかる。自らの信じる正義と、組織の論理との間で龍之進は苦悩する。

見どころ・注目ポイント
若き龍之進が、同心という仕事の厳しさや複雑さに直面し、悩みながらも成長していく姿が描かれます。理想だけでは通じない世の中の理不尽さを知り、大人になっていく龍之進の姿に、読者は親のような気持ちで声援を送りたくなります。

出版年2008年7月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

9. 今日を刻む時計

激動の10年後、新たな章の始まり。

作品内容・あらすじ
江戸の大火から十年。伊三次とお文には新たに娘・お吉が生まれ、ささやかな幸せを噛みしめていた。だが、絵師修行に出た息子の伊与太のこと、そして二十七歳になっても独り身でいる不破龍之進のことが悩みの種。止まっていた時が、再び動き出す。

見どころ・注目ポイント
シリーズ最大の転換点。物語が一気に10年進み、登場人物たちの状況も大きく変化しています。成長した子どもたちの姿や、伊三次たちの新たな悩みが描かれ、ここから新章がスタートします。この巻を読むために、それまでを順番通りに読んできたと言っても過言ではありません。

出版年2010年7月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

10. 心に吹く風

大人になった子どもたち、それぞれの人生が交差する。

作品内容・あらすじ
絵師修行に出ていた伊三次の息子・伊与太が、兄弟子と喧嘩をして実家に戻ってきてしまう。親の心配をよそに働きだすが…。一方、不破家の娘・茜は美しく成長し、その運命もまた大きく動き出そうとしていた。成長した子どもたちの物語が本格化する。

見どころ・注目ポイント
伊三次の息子・伊与太と、不破家の娘・茜。幼馴染だった二人の関係にも変化の兆しが見え始めます。親世代の物語と並行して、子どもたちの恋や仕事の悩みが描かれ、物語にさらなる深みを与えています。世代を超えて楽しめるファミリーストーリーの魅力が満載です。

出版年2011年7月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

11. 明日のことは知らず

伊与太の淡い恋、そして人生の無常。

作品内容・あらすじ
伊三次の息子・伊与太が密かに憧れ、絵にも描いていた女性が亡くなった。しかし、葬式の直後、彼女の夫は別の女と遊んでいたという。人の心の裏側を知り、傷つく伊与太。若き絵師の卵が、人生のほろ苦さを知る。

見どころ・注目ポイント
多感な時期を迎えた伊与太の心の成長が丁寧に描かれます。憧れの人の死を通して、世の中の理不尽さや人の心の複雑さに触れる伊与太の姿に、読者は自らの青春時代を重ね合わせるかもしれません。切なくも美しい、青春小説のような味わいの一冊です。

出版年2012年8月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

12. 名もなき日々を

それぞれの道へ、伊与太と茜に訪れる転機。

作品内容・あらすじ
伊三次の息子・伊与太は、有名な絵師のもとに弟子入りが叶い、修行に力が入る。一方、不破家の娘・茜は、奉公先の松前藩の若君に好意を持たれており、その運命は大きく展開しようとしていた。幼馴染の二人が、それぞれの道を歩み始める。

見どころ・注目ポイント
伊与太と茜、二人の若者の人生が大きく動き出す巻です。絵師としての才能に悩みながらも前に進む伊与太と、大名家の後継問題という大きな渦に巻き込まれていく茜。二人の未来がどうなるのか、目が離せない展開が続きます。

出版年2013年11月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

13. 昨日のまこと、今日のうそ

若者たちの決断、人生の岐路に立つ。

作品内容・あらすじ
松前藩の嫡子から求愛され、側室になることを決意した茜。だが、彼の体調は刻一刻と悪化していく。一方、伊与太は自らの才能に悩み、当代一の絵師・葛飾北斎のもとを訪ねる。人生の岐路に立った若者たちに、親として伊三次とお文は何を伝えられるのか。

見どころ・注目ポイント
伊与太と茜、それぞれのクライマックスが近づいてきます。自分の才能や運命と向き合い、大きな決断を下そうとする若者たちの姿は、読む者の胸を熱くします。親世代の伊三次たちが、成長した子どもたちをどう見守るのか、その視線も温かいです。

出版年2014年9月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

14. 月は誰のもの

空白の10年間を埋める、シリーズ初の長編。

作品内容・あらすじ
シリーズ第8作『我、言挙げす』の後に起きた大火事。そして第9作『今日を刻む時計』までの空白の10年間に何があったのか。伊三次とお文の娘・お吉の誕生、一家がどのようにして生活を立て直したのか。過去と現在を行き来しながら、これまで語られなかった物語が明かされる。

見どころ・注目ポイント
ファン待望の、空白期間を描いた長編作品です。シリーズのミッシングリンクを埋める重要な物語であり、なぜ伊三次たちが現在の生活を送っているのか、その理由が分かります。時系列を理解する上で欠かせない一冊であり、シリーズを読み込んでいるほど感動もひとしおです。

出版年2014年10月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

15. 竈河岸(へっついがし)

受け継がれる心、伊三次と龍之進の新たな絆。

作品内容・あらすじ
金貸し殺しの犯人として、伊三次そっくりの男が捕まった。不破龍之進の妻・きいは、その男が真犯人とは思えず、夫に再捜査を促す。三十歳となった龍之進は、自分の手先となる小者を探す中で、かつて追ったある男と再会する。

見どころ・注目ポイント
父・友之進から息子・龍之進へと、同心としての魂が受け継がれていく様子が描かれます。伊三次と龍之進という、世代を超えたコンビの活躍が新鮮です。女優の杏さんが解説を寄稿していることでも話題となりました。

出版年2015年10月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

16. 擬宝珠のある橋

切なくも美しい、著者渾身の最終巻。

作品内容・あらすじ
月夜に現れる蟹を獲る老人、擬宝珠のある橋での出会い、そして青もみじが美しい季節の出来事。伊三次と家族の穏やかな日常の中に起こる小さな事件たち。シリーズ初の長編『月は誰のもの』も収録され、著者のエッセイも収められた、ファンへの贈り物のような一冊。

見どころ・注目ポイント
作者・宇江佐真理さんのご逝去により、シリーズ最後の作品となった一冊です。伊与太と茜の恋の行方など、未来への余韻を残しながら、物語は静かに幕を閉じます。完結はしていませんが、伊三次たちの「名もなき日々」がこれからも続いていくことを感じさせる、優しさに満ちた読後感です。

出版年2016年3月
小説ジャンル人情時代小説、捕物帳

テレビドラマ化された作品について

『髪結い伊三次捕物余話』は、1999年4月から9月にかけて、フジテレビ系列で『髪結い伊三次』としてテレビドラマ化されました。

主演の伊三次役を務めたのは、歌舞伎俳優の中村橋之助(現・八代目中村芝翫)さん。江戸っ子らしい粋でいなせな雰囲気が、原作の伊三次のイメージにぴったりだと評判でした。

その他の主要キャストも豪華な顔ぶれです。

  • 不破友之進 役: 村上弘明さん
  • 文吉(お文) 役: 涼風真世さん

当時の風俗や言葉遣いを可能な限り再現し、原作の持つリアリティと人情味あふれる世界観を大切に制作されました。残念ながら現在、動画配信サービスなどでの視聴は難しいようですが、機会があればぜひご覧いただきたい名作です。

オーディオドラマ化もされています

本シリーズは、NHKラジオ第1「新日曜名作座」にて、西田敏行さんと竹下景子さんの二人芝居によるオーディオドラマとしても放送されました。2009年から2013年にかけて3期にわたって放送され、こちらも高い評価を得ています。耳で聞く伊三次の世界もまた格別です。

髪結い伊三次捕物余話を読む順番 | 関連情報をもっと詳しく

髪結い伊三次捕物余話を読む順番 | 関連情報をもっと詳しく
イメージ画像:エンタメMAG

物語の世界をより深く理解するためには、作者の背景や他の作品を知ることも欠かせません。ここでは、作者である宇江佐真理さんの人柄や、シリーズ以外の名作を紹介します。

作者・宇江佐真理のプロフィールと作風

作者の宇江佐真理(うえざ まり)さんは、1949年に北海道函館市で生まれた時代小説作家です。

OL生活などを経て主婦となり、1995年に『幻の声』で第75回オール讀物新人賞を受賞して作家デビューを果たしました。このデビュー作が『髪結い伊三次捕物余話』シリーズの第1作となります。

宇江佐さんの作品は、江戸の市井に生きる名もなき人々への温かい眼差しが特徴です。派手なチャンバラや難解なトリックではなく、人々の日常にあるささやかな喜びや悲しみ、心の機微を丁寧にすくい上げ、読者の共感を呼びます。

宇江佐真理さんの主な受賞歴

  • 1995年:『幻の声』で第75回オール讀物新人賞受賞
  • 1999年:『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞受賞
  • 2001年:『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞受賞

2014年にご自身が癌であることを公表し、闘病を続けながらも執筆活動を続けられましたが、2015年11月、66歳で惜しまれつつこの世を去りました。『髪結い伊三次捕物余話』シリーズは、まさに宇江佐さんの作家人生そのものであり、デビューから最後まで書き続けた大切な作品です。

髪結い伊三次捕物余話シリーズ以外の代表作

『髪結い伊三次捕物余話』シリーズで宇江佐真理さんのファンになった方に、ぜひ読んでいただきたいシリーズ外の代表作をいくつかご紹介します。

『雷桜(らいおう)』

徳川家に生まれた姫と、山奥で育った奔放な青年との身分違いの恋を描いた恋愛時代小説。2010年には岡田将生さんと蒼井優さん主演で映画化もされた、宇江佐さんの代表作の一つです。運命に翻弄される二人の切ない物語が胸を打ちます。

『泣きの銀次』シリーズ

妹を惨殺された大店の若旦那・銀次が、岡っ引きとなって事件の真相を追う捕物帳シリーズ。伊三次シリーズとはまた違った、少しダークでシリアスな雰囲気が魅力です。銀次の心の傷や成長が描かれ、読み応えがあります。

『余寒の雪』

中山義秀文学賞を受賞した、珠玉の短編集。表題作をはじめ、武家社会に生きる人々の厳しさや誇り、そしてその中に垣間見える人間性を描いた作品が収められています。宇江佐さんの筆の冴えが光る一冊です。

これらの作品にも、伊三次シリーズと通じる「市井の人々への優しい視線」が流れています。ぜひ手に取ってみてください。

まとめ:髪結い伊三次捕物余話は順番に読むのが一番

ここまで、髪結い伊三次捕物余話の読む順番について解説しました。改めて、本シリーズは登場人物の成長物語でもあるため、出版順に読むのが最もおすすめです。この記事で紹介したシリーズ全作品一覧や、各作品のあらすじを参考に、ぜひ一巻から手に取ってみてください。魅力的な登場人物たちが織りなす物語は、一度読み始めると止まらなくなるでしょう。

1999年に放送されたドラマも、原作の雰囲気をよく伝えています。作者・宇江佐真理さんのプロフィールやその温かい作風に触れると、物語をより深く味わえます。また、シリーズを読み終えた方は、他の代表作にも素晴らしい作品がたくさんありますので、そちらも楽しんでみてはいかがでしょうか。

  • シリーズを読む順番は出版順が鉄則
  • 主人公は髪結いと密偵の二つの顔を持つ伊三次
  • 事件解決だけでなく江戸の人情や恋愛模様が魅力
  • 登場人物が作中で年を重ね成長していく
  • 作者・宇江佐真理さんの逝去により未完のシリーズ
  • 1999年にテレビドラマ化もされている

参考サイト:宇江佐真理「髪結い伊三次捕物余話」シリーズ 髪結いの伊三次と芸者のお文。大河ロマン的な人情時代小説。 | 特設サイト – 本の話

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