宮城谷昌光の読む順番と最高傑作は?おすすめ作品ガイド

宮城谷昌光の読む順番と最高傑作は?おすすめ作品ガイド

古代中国の壮大な歴史ロマンを描き、多くの読者を魅了し続ける作家、宮城谷昌光氏。その作品は奥深く、いざ手に取ろうとすると「宮城谷昌光作品の読む順番は?」「最高傑作の評価が高い作品はどれ?」と迷う方も多いかもしれません。

また、大作である『三国志』は難しい、『奇貨居くべし』はどう読むのか、あるいは『諸葛亮』はつまらないといった特定の評判が気になることもあるでしょう。

この記事では、作品年表も交えながら、宮城谷昌光作品の楽しみ方とおすすめの読む順序を解説します。

この記事で分かること
  • 宮城谷昌光の最高傑作と最初に読むべきおすすめ作品
  • 歴史の流れが分かる「時代順」と「出版順」の読み方
  • 『三国志』や『諸葛亮』など特定作品の評価と楽しむコツ
目次

宮城谷昌光作品の読む順番ガイド

宮城谷昌光作品の読む順番ガイド
イメージ:エンタメMAG

ここでは、膨大な作品群の中から最高傑作と名高い作品や、読む順番を決める際の基本的な考え方、そして人気のおすすめ作品を紹介します。

最高傑作は?最初に読むべき作品 3選

宮城谷昌光作品の「最高傑作」として多くの声が挙がり、また最初に読む一冊としておすすめしたい3作品を紹介します。これらの作品は多くの読者に支持されており、入門書として最適です。

どの作品から読むか迷った場合、まずは以下の作品から選ぶことを推奨します。

1. 楽毅(がくき)

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諸葛孔明が「目標とした」名将の、鮮烈な生涯

作品内容・あらすじ
戦国時代、小国・中山に生まれた楽毅。祖国を大国・趙に滅ぼされた後、その類まれな才覚を燕の昭王に見出される。復讐を誓う王と共に、当時最強を誇った大国・斉を滅亡寸前まで追い詰めた、天才軍師の知略と忠誠を描く。

当サイトおすすめの理由
宮城谷作品の魅力である「リーダー論」「組織論」が凝縮されています。リーダーの視座の高さや、逆境を乗り越える戦略は、現代のビジネスパーソンにも深く響くものがあります。鮮やかな戦略で敵を打ち破る痛快さと、人間ドラマの深さを兼ね備えた、まさに入門にして最高傑作の一つです。

出版年1997年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)
受賞歴第3回司馬遼太郎賞

2. 孟嘗君(もうしょうくん)

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「鶏鳴狗盗」――三千人の食客が織りなす群像劇

作品内容・あらすじ
「鶏鳴狗盗」の故事で有名な戦国四君の一人、孟嘗君(田文)。不吉な生まれとして殺されそうになるも、密かに育てられる。やがて三千人もの食客を抱え、その才能を活かして斉、魏、秦の宰相を歴任した男の、波乱に満ちた生涯。

当サイトおすすめの理由
主人公の魅力もさることながら、彼のもとに集う多種多様な食客たちの人間ドラマが圧巻です。人の才能を見抜き、適材適所で活かすリーダーシップとは何かを深く考えさせられます。個性豊かなキャラクターたちが躍動する群像劇としての面白さは格別で、宮城谷作品の「人間洞察」の深さを存分に味わえます。

出版年1995年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)

3. 重耳(ちょうじ)

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19年の放浪、大器晩成の英雄が覇者となる物語

作品内容・あらすじ
春秋五覇の筆頭、晋の文公・重耳。継母の陰謀により祖国を追われ、19年もの長く過酷な放浪生活を余儀なくされる。しかし、多くの苦難と出会いを経て人間的な「徳」を蓄え、ついに帰国。優れた家臣団に支えられ、中原の覇者となるまでを描く。

当サイトおすすめの理由
突出した才能ではなく、人間味あふれる「徳」によって人を惹きつけるリーダー像が感動的です。長い逆境を耐え抜き、仲間と共に成功を掴む大河ドラマは、読む者に深い勇気を与えてくれます。国家運営における人心掌握や政治の駆け引きも詳細に描かれ、重厚な物語を堪能したい方におすすめです。

出版年1993年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)
受賞歴第44回芸術選奨文部大臣賞

最高傑作は『公孫龍』?

読者の間では「最高傑作は『公孫龍』という声もあります。これは、思想家・公孫龍を「周の王子」という独自の解釈で描いた意欲作です。しかし、全四巻と長く、これまでの作品の登場人物(楽毅など)も深く関わるため、宮城谷ワールドの世界観の繋がりを楽しみたい、中級者以上の方にこそおすすめしたい作品と言えます。まずは上記3作品などで宮城谷氏の作風に触れてから挑戦するのをオススメします。

読む順番のポイントと理由は?

宮城谷昌光作品の読む順番に厳格なルールはありませんが、当サイトがおすすめする方法は「歴史の時代順」に読むことです。

理由は、宮城谷氏の作品の多くが春秋戦国時代という、国が興り滅び、人物が複雑に絡み合う時代を描いているためです。時代順に追うことで、A作品の脇役がB作品の主人公として登場する、といった繋がりが明確になり、物語の理解が格段に深まります。

なぜ「時代順」が良いのか?

宮城谷文学の神髄は、個々の英雄譚ではなく、時代全体のうねりを描く点にあります。「時代順」で読むことは、単なる知識の整理以上の価値を持ちます。

  • 人物の相関関係が立体的に:
    例えば、『管仲』→『重耳』→『晏子』→『孟嘗君』→『楽毅』と読み進めると、斉という国の盛衰や、晋の分裂、そして戦国時代への移行が肌感覚で理解できます。なぜ楽毅が斉にあれほどの憎しみを抱いたのか、その背景が『孟嘗君』を読むとより深くわかります。
  • 歴史の「大きな流れ」を体感できる:
    「礼」や「徳」といった価値観が、時代と共にどう変遷し、あるいは失われていったのか。宮城谷氏が一貫して描くテーマを、通史として体感できるのが最大のメリットです。

もちろん、難しく考えずに、直木賞受賞作の『夏姫春秋』や、興味を持った人物(例えば『太公望』や『劉邦』)から手に取るのも素晴らしい読書体験の始まり方です。

おすすめの「時代順」の例

  1. 夏・殷(商)時代:『天空の舟』(伊尹)、『太公望』
  2. 春秋時代:『管仲』、『重耳』、『晏子』、『子産』、『孔丘』
  3. 戦国時代:『孟嘗君』、『楽毅』、『公孫龍』、『奇貨居くべし』(呂不韋)
  4. 秦末~漢:『香乱記』、『劉邦』、『張良』、『草原の風』(光武帝)
  5. 後漢~三国時代:『三国志』、『諸葛亮』

おすすめの人気作 7選を紹介

最初に読むべき3選以外にも、宮城谷昌光氏には数多くの名作があります。ここでは、文学賞受賞作や特に評価の高い7作品をピックアップして紹介します。

1. 太公望

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復讐を誓う少年は、いかにして伝説の軍師となったか

作品内容・あらすじ
商(殷)王朝に一族を虐殺された羌族の少年「望」。復讐を胸に生き延び、やがて周の文王と出会い、商王朝打倒を成し遂げる伝説の軍師・太公望となるまでの壮大な生涯。

当サイトおすすめの理由
一般的に「のんびり釣りをする賢者」のイメージが強い太公望の、エネルギッシュな若き日の姿が新鮮です。悪女とされる妲己や暴君とされる紂王の解釈も独自で、単純な勧善懲悪ではない宮城谷史観の深さを味わえます。

出版年1998年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)

2. 管仲(かんちゅう)

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「管鮑の交わり」――友への信頼が覇業の礎となる

作品内容・あらすじ
「管鮑の交わり」の故事で知られる春秋時代の名宰相・管仲。不遇の時代を支えた親友・鮑叔牙との絆、そして斉の桓公を中原初の「覇者」へと導いた知略と改革を描く。

当サイトおすすめの理由
宮城谷作品の魅力の一つである、人物の無名時代からの丁寧な描写が光ります。管仲がいかにしてその思想を培い、鮑叔がいかにしてその才能を見抜いたのか。二人の熱い友情と信頼関係のドラマが、ビジネスにおける人間関係の築き方にも通じます。

出版年2003年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)

3. 晏子(あんし)

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権力に屈せぬ知性。父子の信念が国を支える

作品内容・あらすじ
春秋時代の斉を舞台に、名将である父・晏弱と、その才を受け継いだ名宰相・晏嬰の親子二代にわたる活躍。気まぐれな君主や驕慢な高官がはびこる国で、親子はいかにして「礼」と「徳」を貫いたか。

当サイトおすすめの理由
司馬遷が「御者になりたい」とまで敬愛した晏嬰の、知的な魅力が存分に描かれています。特に子の晏嬰が、君主に対しても臆せず正論を説く姿は、現代の組織人にも多くの示唆を与えてくれます。父子の絆と二代にわたる壮大な物語を読みたい方におすすめです。

出版年1994年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)

4. 夏姫春秋(かきしゅんじゅう)

講談社
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絶世の美女か、傾国の悪女か。直木賞受賞作

作品内容・あらすじ
春秋時代、その美しさゆえに多くの男たちを破滅させ、国さえも傾かせたとされる絶世の美女・夏姫。超大国・晋と楚の狭間で翻弄される小国・鄭を舞台に、彼女の数奇な運命を描く。

当サイトおすすめの理由
第105回直木賞受賞作であり、宮城谷氏の名を世に知らしめた一作です。本作の夏姫は、主体的に男を惑わす悪女ではなく、むしろその美しさゆえに運命に翻弄される女性として描かれています。彼女を巡る英雄たちの愛憎が渦巻く、壮大な中国ロマンの傑作です。

出版年1991年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)
受賞歴第105回 直木三十五賞

5. 天空の舟 小説・伊尹伝

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料理人から名宰相へ。殷王朝創設の立役者

作品内容・あらすじ
伝説の夏王朝末期。孤児として育ち料理人となった伊尹(いいん)は、その不思議な能力と知恵で商の湯王に見出され、夏王朝を打倒し商(殷)王朝を創設する立役者となる。

当サイトおすすめの理由
新田次郎文学賞を受賞した、宮城谷氏初期の代表作です。まだ神話の香りが残る古代中国を舞台に、一人の男が才能と努力で成り上がっていく様は、壮大なファンタジーや英雄譚のようでもあります。「人民と共に苦しむことが真の幸せ」という伊尹の言葉が胸を打つ、物語性の強い傑作です。

出版年1990年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)
受賞歴第10回 新田次郎文学賞

6. 子産(しさん)

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孔子が敬愛した「恵人」。小国を支えた政治家の鑑

作品内容・あらすじ
春秋時代中期、大国・晋と楚に挟まれた小国・鄭。孔子に「恵人(思いやりのある人)」と敬愛された最高の知識人・子産が、いかにして疲弊した民を守り、誇りを失った国を立て直したかを描く。

当サイトおすすめの理由
第35回吉川英治文学賞受賞作。派手な合戦や謀略ではなく、子産の誠実な「徳」と「礼」による政治がいかに国を救ったか、その過程が丁寧に描かれます。「人とはかくあるべし」という著者の信念が最も強く表れた作品の一つであり、現代の政治家やリーダーにこそ読んでほしい一冊です。

出版年2000年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)
受賞歴第35回 吉川英治文学賞

7. 草原の風(そうげんのかぜ)

中央公論新社
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漢王朝再興!光武帝・劉秀の壮大な成長物語

作品内容・あらすじ
前漢が滅び、王莽による「新」が統治する時代。劉邦の子孫でありながら、農民として育った劉秀(のちの光武帝)が、いかにして人心を集め、漢王朝を再興するに至ったかを描く。

当サイトおすすめの理由
『三国志』の約200年前の物語であり、「三国志」の英雄たちがなぜあれほど漢王朝の復興にこだわったのか、その「理想の原点」を知ることができます。力ではなく「人の心の力」で天下を統べた名君・劉秀の清廉な生き様は、読後に爽やかな感動を残してくれます。

出版年2011年(単行本)
小説ジャンル歴史小説(長編)

「奇貨居くべし」の読む順番を解説

『奇貨居くべし』は、秦の始皇帝の父ともいわれる大商人・呂不韋(りょふい)の生涯を描いた全5巻の長編小説です。

宮城谷氏は、「多くの謎に包まれた呂不韋」という人物像を、商人としての少年時代から、宰相として『呂氏春秋』を編纂するまでに至る、一人の人間の成長物語として構築しました。

したがって、この作品の読む順番は決まっています。必ず以下の巻数順(時系列順)に読んでください。途中の巻から読むと、呂不韋がどのような出会いを経てその思想を形成したのかが分からず、物語の魅力を十分に楽しめません。

『奇貨居くべし』の読む順番

  1. 第1巻 春風篇(しゅんぷうへん):呂不韋の少年時代
  2. 第2巻 火雲篇(かうんへん):青年時代、藺相如や孟嘗君らとの出会い
  3. 第3巻 黄河篇(こうがへん):商人として立つ準備
  4. 第4S巻 飛翔篇(ひしょうへん):「奇貨」である公子・異人との出会い
  5. 第5巻 天命篇(てんめいへん):秦の宰相として、そして終幕

一商人から宰相へと登りつめた男の波乱の生涯を、ぜひ1巻から順にお楽しみください。

【作品別】宮城谷昌光の読む順番ガイド

【作品別】宮城谷昌光の読む順番ガイド
イメージ:エンタメMAG

ここでは、特定の作品について検索している読者の疑問にお答えします。『三国志』や『諸葛亮』に関する評判や、著者のプロフィール、全作品リスト(作品年表)についても解説します。

三国志は難しい?挫折しない読み方

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宮城谷昌光版『三国志』(全12巻)について、「難しい」「途中で挫折した」という声が聞かれることがあります。

その最大の理由は、一般的な「三国志演義」ベースの物語とは大きく異なる点にあります。一般的に、吉川英治版や横山光輝版の漫画に代表される「演義」が劉備・関羽・張飛の「桃園の誓い」から始まるのに対し、宮城谷版は陳寿の「正史三国志」をベースにしています。

なぜ「難しい」と感じるのか?

宮城谷版『三国志』は、私たちが期待する「英雄譚」ではありません。物語は、黄巾の乱が起こる約100年も前の後漢王朝、曹操の祖父である宦官・曹騰(そうとう)の時代から始まります。

つまり、英雄たちが登場するまでに非常に時間がかかります。第1巻、第2巻は、なぜ漢王朝が衰退し、「三国志」という乱世が必然的に訪れたのか、その根本原因である「政治の腐敗」と「時代の空気」を丹念に描くことに費-やされます。「1巻は正直お世辞にも読みやすいとは言えない」という感想があるのは、この構成に起因します。

英雄たちの華々しい活躍を期待して読み始めると、地道な政治描写に「難しい」「進まない」と感じてしまうのです。

挫折しないためのポイント

  1. 「演義」とは全く別の作品と心得る
    これは「正史」に基づき、なぜ王朝が滅びたのかを問う、大人のためのリアルな歴史政治小説です。吉川英治版のようなエンターテイメント性を期待せず、「漢王朝衰亡史」として読む心構えが重要です。
  2. 後漢末期の「空気」を味わう
    宮城谷氏が描きたかったのは、英雄個人の活躍以上に、その時代を生きた名もなき官僚や人々の「信義」です。腐敗した政治の中で、いかにして人々が生きようとしたのか、その重厚な「空気」を味わう作品と捉えてください。
  3. オーディブル化を待つ
    現在『孔丘』が配信されているように、今後『三国志』のような人気作もオーディブル化される可能性があります。長編こそ「聴く読書」のサポートが有効なため、配信を待つのも一つの手です。

諸葛亮はつまらない?一部の評判を検証

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『三国志』に関連して、2023年に刊行された『諸葛亮』(全2巻)や宮城谷版『三国志』に登場する諸葛亮(諸葛孔明)について、「つまらない」や「期待と違った」という感想が一部で見られます。

これも『三国志』が「難しい」と感じる理由と全く同じ構図です。多くの人が期待する諸葛亮像は、「演義」における「赤壁の戦い」で風を起こすような、超人的な知略を持つ天才軍師の姿です。

しかし、宮城谷氏はここでも「正史」に基づき、諸葛亮をあくまで「人間」として描いています。

「つまらない」の正体

宮城谷氏が描く諸葛亮は、軍事的な天才(軍師)としてよりも、清廉潔白な「政治家・行政官」としての側面が強調されています。『三国志』のレビューにも「軍才の無さを露呈」「慎重に過ぎて優柔不断」といった評価が(演義と比較して)記されている通り、軍事作戦ではむしろ苦戦する姿も描かれます。

『諸葛亮』の紹介文にも「乱世に生きながらも、清新さ・誠実さを失わない姿を描いています」とあるように、神がかった軍師ではない「人間・諸葛亮」の誠実さ、行政手腕、そして「信義」に生きた実像に迫った点が、宮城谷版の最大の特徴です。「つまらない」のではなく、「演義」とは異なる魅力を描いた作品と言えます。

プロフィールと作風・評価を紹介

ここで、著者である宮城谷昌光氏のプロフィールと、作品に共通する独自の作風を、深掘りして解説します。

プロフィール

1945年、愛知県蒲郡市生まれ。早稲田大学第一文学部英文科を卒業後、出版社勤務などを経て作家活動に入ります。長い不遇の時代を過ごしましたが、1990年代に入りその才能が開花。1991年に『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で第105回直木賞をダブル受賞し、一躍人気作家となりました。

作風と評価

宮城谷氏の作品が他の歴史小説と一線を画し、高く評価され続ける理由は、その一貫した「作風」にあります。単なる歴史の解説ではなく、独自の史観と人間洞察が貫かれています。

宮城谷文学の核となる特徴

  • 徹底した歴史考証と「白川静」の影響:
    『史記』などの基本史料に加え、漢字学者・白川静氏の学説に深い影響を受けています。甲骨文字や金文の解釈まで遡り、漢字の成り立ちから当時の人々の思想や生活を読み解くという、非常にアカデミックなアプローチが特徴です。
  • 「臣下」を主人公に据える視点:
    王や皇帝といった「君主」よりも、彼らを支えた宰相、軍師、名将など「臣下」を主人公に据えた作品が圧倒的に多いのが特徴です(例:『楽毅』『管仲』『晏子』『子産』『伊尹』)。歴史を動かすのはトップ一人ではなく、組織とそれを支える「人」であるという視点が明確です。
  • 人物のルーツを「祖父・父」から描く:
    多くの作品で、主人公本人の登場は遅く、まずその祖父や父の代から物語が始まります。これは、「鳶が鷹を生むわけではない」という思想のもと、その人物がどのような環境で育ち、いかにしてその人格が形成されたかという「ルーツ」を丹念に描くためです。
  • 一貫したテーマ「信義」と「徳」:
    武力や謀略が渦巻く乱世にあっても、人間としての「信義」や「徳」を貫こうとする人物の生き様を、格調高く清冽な筆致で描き出します。これが、宮城谷作品が持つ独特の「爽やかさ」「清々しさ」の源泉となっています。

これらの特徴から、宮城谷作品は「歴史から現代のリーダー論や組織論を学ぶための最高のテキスト」として、経営者やビジネスパーソンからも熱い支持を集めています。

【出版順】作品年表|文庫本の有無も

宮城谷昌光氏の主要な長編歴史小説を、単行本が刊行された「出版順」にまとめました。著者のキャリアや作風の変遷を追いたい方、最新作の情報を知りたい方は、こちらの順番も参考にしてください。

刊行年 (単行本)タイトル文庫化主な舞台・時代
1990年天空の舟 小説・伊尹伝夏王朝末期~商
1991年王家の風日殷(商)末期~周
1991年夏姫春秋春秋時代
1993年重耳春秋時代
1994年晏子春秋時代
1995年介子推春秋時代
1995年孟嘗君戦国時代
1997年楽毅戦国時代
1997年奇貨居くべし戦国時代末期(秦)
1997年青雲はるかに戦国時代末期(秦)
1998年太公望殷(商)末期~周
2000年華栄の丘春秋時代
2000年子産春秋時代
2003年管仲春秋時代
2004年香乱記秦末~楚漢戦争
2004年~2013年三国志(全12巻)後漢末期~三国時代
2011年草原の風後漢初期(光武帝)
2015年劉邦秦末~前漢
2017年呉漢後漢初期
2020年孔丘春秋時代
2021年~2025年公孫龍(全4巻)戦国時代
2023年諸葛亮三国時代
2024年張良秦末~前漢

宮城谷昌光 読む順番の総まとめ

宮城谷昌光氏の作品世界を最大限に楽しむための「読む順番」について、さまざまな角度から解説しました。どの作品も単体で楽しめますが、読む順番を意識することで、点と点が繋がり、古代中国の壮大な歴史の流れをより深く体感できるのが宮城谷作品の醍醐味です。

  • 最初に読むなら最高傑作と名高い『楽毅』『孟嘗君』『重耳』の3選から
  • 最適な読む順番は、人物の繋がりが分かる「時代順」が最もおすすめ
  • 『三国志』は「正史」ベースで難しいため、演義との違いを理解して読むのがコツ
  • 『孔丘』がオーディブル(Audible)で配信中。「聴きながら読む」のも有効
  • 文学賞受賞作も多い『夏姫春秋』『子産』などを含む人気作7選も必読

宮城谷氏は、その独自のプロフィールと一貫した作風・評価が示す通り、「信義」と「徳」をテーマに人間を描き続ける作家です。『三国志』が難しいと感じる理由や、『諸葛亮』はつまらないという評判も、この「正史」に基づく人間描写の深掘りゆえと言えます。

まずは『奇貨居くべし』のような長編大作よりも、本記事で紹介した人気作や、出版順と文庫本の情報をまとめた作品年表を参考に、あなたの興味を引く一冊から、この奥深い世界に触れてみてください。

参考サイト:『三国志読本』宮城谷昌光 | 文春文庫

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この記事を書いた人

「エンタメMAG」は、ミステリー小説や時代小説など小説全般をはじめ、映小説や映画・ドラマなどを取り扱うエンタメブログです。話題の作品紹介やレビューに加え、「作家やシリーズ作品の読む順番」 といった役立つ情報をまとめています。元古本屋店員、Audible歴4年(聴き放題制以降前から)のオーディオブック愛好者で、耳で楽しむ読書「オーディブル」に関する情報も豊富に発信しています。

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