汐見夏衛作品の読む順番で迷っていませんか? 透明感あふれる作風で人気の汐見夏衛さんですが、シリーズ作品や話題作が多く、どれから手に取ればいいか迷うのは当然です。この記事では、映画化もされ社会現象となった代表作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』や、若者のリアルな心情を描いた『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』など、必読のおすすめ作品を詳しく解説します。さらに、著者のプロフィールや全作品リストも網羅。手に取りやすい文庫本も多いので、あなたの心に響く特別な一冊がきっと見つかります。
初心者向け|汐見夏衛作品の読む順番
汐見夏衛さんの作品を初めて手に取る方や、どの順番で読むか迷っている方へ。ここでは、作品に共通する魅力や作風のポイントに触れながら、初心者でも物語の世界にスムーズに入っていける4つの具体的な読み方(①代表作から、②シリーズから、③映像化作品から、④最新刊から)を丁寧にご紹介します。ご自身の興味や読書スタイルに合わせて、最適な一冊を見つけるための参考にしてください。
汐見夏衛作品の魅力や作風のポイント

- リアルな心理描写:
若者の繊細な心の動きを巧みに描き、登場人物の葛藤や成長に深く共感できる。 - 美しい文章表現:
元国語教師ならではの、情景が目に浮かぶような透明感のある言葉選び。 - 感動的なストーリー:
読後に勇気と希望が湧き、自己肯定感を高めてくれる心温まる物語。 - 普遍的なテーマ:
人との繋がり、自己発見、成長など、誰もが共感できるテーマを扱っている。
汐見夏衛さんの作品が世代を超えて多くの読者を惹きつける最大の理由は、その繊細な心理描写と、心を揺さぶる感動的なストーリーにあります。特に、思春期や青春時代の若者が抱える特有の心の葛藤、例えば「周りに合わせて本当の自分を隠してしまう苦しさ」や「伝えたいのに伝えられない想いの切なさ」などをテーマにしたものが多く、登場人物たちが自分自身と真摯に向き合い、困難を乗り越えていく姿は、読む人に深い共感と明日への活力を与えてくれます。
また、元国語教師という経歴を持つ著者ならではの、清らかで透明感あふれる美しい文章表現も大きな魅力と言えるでしょう。巧みな比喩表現や情景描写によって、物語の世界が目の前に広がるかのような強い没入感を味わうことができます。自己肯定感や人との繋がりの大切さをテーマにした作品も多く、読後には心がじんわりと温かくなり、自分や周りの人を少しだけ大切にしたくなるような、前向きな気持ちにさせてくれる点が人気の理由です。
おすすめ作品から読む | 代表作・人気作10選

「まずは評価の高い作品から読んでみたい」という方は、人気ランキング上位の代表作から手に取るのが間違いありません。ここでは、読者から特に熱い支持を集める10作品を厳選し、その魅力を詳しく紹介します。あなたの心に響く一冊が、きっとこの中にあります。
僕の永遠を全部あげる
儚い時間の中で紡がれる、切ない恋愛と成長の物語。
作品内容・あらすじ
家庭でも学校でも疎外感を抱き、生きる意味を見失っている少女・千花。絶望に打ちひしがれていた雨の日、不思議な少年・留生が「やっと見つけた」という言葉と共に傘を差し伸べる。彼の底知れない優しさに触れ、千花の閉ざされた心は少しずつ溶かされていく。しかし、二人の出会いには、あまりにも悲劇的な宿命が背負わされていた。
おすすめポイント
自分に自信が持てず、孤独を感じている人にこそ読んでほしい、魂の救済の物語です。登場人物が自分自身を見つけ、誰かのために変わろうとする姿に強く心打たれます。物語の終盤で明かされる衝撃の真実と、予想もしなかった結末に、あふれる涙が止まらないでしょう。著者の真骨頂である感動的なストーリーテリングが光る、号泣必至の青春小説です。
出版年 | 2019年 |
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小説ジャンル | 青春・恋愛 |
海に願いを 風に祈りを そして君に誓いを

潮風が香る海の町を舞台に描かれる、心温まる究極の愛の物語。
作品内容・あらすじ
優等生だが天邪鬼な凪沙と、素直で一途に凪沙を想う優海は、幼い頃からの恋人同士。誰よりも強い絆で結ばれていた二人だが、ある日を境に凪沙は優海に冷たく当たり、厳しく鍛え始める。その不可解な態度の裏には、あまりにも悲しく切ない秘密が隠されていたのだった。
おすすめポイント
恋愛、友情、そして自己発見といったテーマが、美しい情景描写とともに巧みに描かれています。互いを深く、そして強く想い合う二人の純粋な姿と、物語の最後に明かされる衝撃的な結末に、涙なしでは読めません。心温まる物語や、純愛ストーリーを読みたい方にぴったりの一冊で、多くの読者から「人生で一番泣いた」との声が寄せられています。
出版年 | 2018年 |
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小説ジャンル | 青春・恋愛 |
シリーズ名 | 鳥浦シリーズ |
夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく

現代を生きる若者の苦悩と成長をリアルに綴る、感動の青春恋愛小説。
作品内容・あらすじ
優等生を演じ、マスクで本心を隠しながら窮屈に生きる高校2年生の茜。誰からも信頼される彼女だが、隣の席の自由奔放な青磁にだけは「嫌いだ」と言われてしまう。自分とは正反対の彼を苦手しく思っていたが、自分の気持ちを偽りなく表現する青磁の姿に、次第に救われていく。しかし、彼にもまた、抱えている秘密があった。
おすすめポイント
心に秘めた悩みや言えない想いを抱える登場人物たちの心情が、痛いほどリアルに、そして丁寧に描かれています。優等生を演じるしかなかった茜の理由や、タイトルの本当の意味が明らかになる時、温かい涙があふれるでしょう。汐見夏衛さんのファンになるきっかけとして、これ以上ないほど最適な入門書です。
出版年 | 2017年 |
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小説ジャンル | 青春・恋愛 |
シリーズ名 | 夜きみシリーズ |
受賞 | 第1回野いちご大賞 受賞 |
メディア化 | 2023年 実写映画化 |
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

時を超えた愛の奇跡が胸を打つ、切なくも美しいラブストーリー。
作品内容・あらすじ
親や学校、すべてにイライラする日々を送る中学2年生の百合。ある日、母親と喧嘩して家を飛び出し、目を覚ますとそこは70年前、1945年の戦時中の日本だった。偶然通りかかった特攻隊員・彰に助けられ、彼と過ごすうちにその誠実さと優しさに惹かれていく。しかし、彼はまもなく、命を懸けて戦地に飛び立つ運命だった。
おすすめポイント
現代を生きる少女の視点から戦時中の日本を見ることで、私たちが享受している平和の尊さや、戦争の不条理を改めて深く考えさせられます。歴史的な事実と、胸が締め付けられるほど切ない恋物語が融合し、涙なくしては読めない圧巻のラストが待っています。SNSを中心に「とにかく泣ける」と口コミが広がり、映画は興行収入45億円を超える大ヒットを記録しました。
出版年 | 2016年 |
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小説ジャンル | 青春・恋愛、タイムスリップ |
シリーズ名 | あの花シリーズ |
メディア化 | 2023年 実写映画化 |
ないものねだりの君に光の花束を

自己肯定感をテーマに、読者の心に温かい光を灯す希望の物語。
作品内容・あらすじ
すべてにおいて平凡で、個性がないことがコンプレックスの高校生・影子は、自分を〈永遠の脇役〉だと思っている。同じクラスには、大人気アイドルグループのメンバーで、学校でも人気者の真昼がいた。住む世界が違うと感じていたが、ひょんなことから図書委員を一緒に務める中で、誰も知らない彼の陰の一面を知ることになる。
おすすめポイント
人生の不条理や、他人と比較して落ち込んでしまう心に優しく寄り添ってくれる一冊です。「自分は自分でいいんだ」と、誰もが誰かにとっての「特別」であることに気づいた時、目の前の世界が輝いて見えるでしょう。読後、温かい気持ちと前に進む勇気がもらえる、希望に満ち溢れた物語です。
出版年 | 2020年 |
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小説ジャンル | 青春・純愛 |
さよなら嘘つき人魚姫

誰もが知る人魚姫の伝説を現代に蘇らせた、感動のファンタジーロマンス。
作品内容・あらすじ
アンデルセン童話『人魚姫』をモチーフに、現代の日本を舞台として大胆に再構築したファンタジー作品。声と引き換えに人間の姿になった人魚の少女と、彼女が出会う人間の青年との切なくも美しい愛の物語が繰り広げられる。登場人物たちの純粋な想いが交錯し、原作とは異なる予想外の感動的な結末へと導かれる。
おすすめポイント
ファンタジー小説が好きな方には特におすすめの一冊です。汐見夏衛さんならではの透明感のある美しい文章で描かれる幻想的な世界観に、ぐいぐい引き込まれることでしょう。愛する人を想うことの尊さや、犠牲、そして真実の愛とは何かを深く考えさせられる、読者の心に長く残り続ける作品です。
出版年 | 2021年 |
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小説ジャンル | ファンタジー・恋愛 |
明日の世界が君に優しくありますように

閉ざされた心が癒されていく過程を丁寧に描く、優しさに満ちた物語。
作品内容・あらすじ
ある出来事をきっかけに人間不信に陥り、祖父母の家に引っ越してきた高校生の真波。周囲の優しさにも苛立ち、固く心を閉ざしていたが、同級生の漣だけが裏表なく真っ直ぐに向き合ってくれる。少しずつ前に進み始めた矢先、今度は漣が、過去のある後悔から心を閉ざしてしまう。真波は彼を救うために奔走する。
おすすめポイント
人生に少し疲れてしまった時や、人間関係に悩んでいる時に読むと、登場人物たちの優しさが心にじんわりと染み渡ります。傷ついた者同士が互いに支え合い、心の傷を乗り越えていく姿に、明日を生きるための小さな勇気をもらえるでしょう。読後、自分も他人も、もう少しだけ大切にしたくなるような温かい気持ちになれる一冊です。
出版年 | 2019年 |
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小説ジャンル | 青春・恋愛 |
シリーズ名 | 鳥浦シリーズ |
真夜中の底で君を待つ

愛に飢えた少女と愛を諦めた青年が織りなす、静かで心に響く成長の物語。
作品内容・あらすじ
家族や友人との関係よりも、喫茶店でのアルバイトを心の拠り所にする17歳の更紗。そんな彼女が気になるのは、いつもアイスコーヒーだけで閉店まで粘る常連客の「黒縁さん」。店で会うだけの関係だったが、ある夜、公園で偶然再会する。連絡先も知らないまま始まった特別な時間は、互いが胸に秘めた過去の痛みを静かに解きほぐしていく。
おすすめポイント
劇的な事件が起こるわけではありませんが、登場人物の微細な心情の変化が丹念に描かれており、静かに深く心に染み渡ります。孤独を抱える二人が、互いを必要とし、支え合うことで再生していく姿に、人との繋がりの温かさと大切さを再認識させられます。静かで落ち着いた雰囲気の物語が好きな方に、ぜひ手に取ってほしい作品です。
出版年 | 2021年 |
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小説ジャンル | 青春・成長 |
たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ

時間を超える力で、大切な人を救おうと奮闘する感動の青春タイムリープ。
作品内容・あらすじ
高校2年生のなずなのクラスメイトで、明るく人気者の鈴白くんが突然命を絶った。彼の悩みに気づけなかった後悔に苛まれるなずなは、彼との思い出の砂時計に「時間を巻き戻したい」と願う。翌朝、彼女は一ヶ月前に戻っていた。しかし、安堵したのも束の間、彼は再び同じ悲劇的な選択をしてしまう。なずなは彼を救えるのか。
おすすめポイント
タイムリープというファンタジックな設定の中で、主人公が何度も絶望し、それでも諦めずに大切な人を救おうと奮闘する姿に胸が熱くなります。「当たり前の日常」がいかに愛おしく、かけがえのないものかを教えてくれる作品です。学校では教えてくれない「生きる意味」が詰まっており、特に10代の読者に読んでほしい希望の物語です。
出版年 | 2023年 |
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小説ジャンル | 青春・タイムリープ |
雨上がり、君が映す空はきっと美しい

自分の殻を打ち破り、新しい世界へ踏み出す勇気がもらえる再生の物語。
作品内容・あらすじ
幼い頃から外見を母親や周囲にけなされ続け、目立たないように”普通”を演じて生きてきた美雨。ある日、映画研究部の部長・映人先輩にひとめぼれをする。見ているだけの恋のはずが、彼に部活へと誘われたことで、彼女のモノクロだった世界は一変する。一風変わった先輩と関わるうちに、”新しい世界”と”新しい自分”があることに気づいていく。
おすすめポイント
外見のコンプレックスを抱えている人や、自分に自信が持てずに一歩を踏み出せないでいる人に、ぜひ読んでほしい一冊です。主人公が写真や映像を通して少しずつ自分を好きになっていく過程が丁寧に描かれており、読者も一緒に自己肯定感を高めていくことができます。「君の雨がやむのを、ずっと待ってる」という作中の言葉が、温かく心に響きます。
出版年 | 2021年 |
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小説ジャンル | 青春・恋愛 |
シリーズ作品から読むのがおすすめ

汐見夏衛さんの作品世界をより楽しむなら、シリーズ作品を刊行順に読むことをおすすめします。物語の世界観や登場人物が作品間でリンクしており、順番に読むことで、キャラクターたちの成長や関係性の変化を時系列に沿って体感できるからです。
前作の主人公が後の作品に脇役として登場したり、ある作品の出来事が別の作品で語られたりと、シリーズを通して読むことで気づく仕掛けも多く、物語の繋がりを発見する楽しみは格別です。ここでは、汐見作品の核となる代表的な3つのシリーズと、推奨される読む順番を詳しく紹介します。
代表的なシリーズと読む順番
シリーズ名 | 読む順番 | シリーズの特色 |
---|---|---|
あの花シリーズ | ①『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』 ②『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』 ③『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。Another』 | 戦争と平和、そして時を超えた愛をテーマにした、切なくも壮大な物語。 |
夜きみシリーズ | ①『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』 ②『だから私は、明日のきみを描く』 ③『まだ見ぬ春も、君のとなりで笑っていたい』 | 同じ高校を舞台に、様々な悩みを抱える高校生たちのリアルな青春を描く群像劇。 |
鳥浦シリーズ | ①『海に願いを 風に祈りを そして君に誓いを』 ②『明日の世界が君に優しくありますように』 | 美しい海の町「鳥浦」を舞台に、登場人物たちの心の再生と成長を描く心温まる物語。 |
特に読む順番にこだわりがなければ、まずはこれらのシリーズの1作目から読み始めてみると、作品の世界観や著者の作風にスムーズに入り込むことができるでしょう。
映画化・メディア化した作品から読む
「活字を読むのが少し苦手」「どの作品から読めばいいか、まったく見当がつかない」という方は、映像化された作品から入るのも非常におすすめな方法です。多くの人にとって、物語の世界観に触れる入口として、映画やドラマは非常に親しみやすい媒体と言えます。
映像を先に観ることで、物語の大まかなあらすじや登場人物のビジュアルイメージを直感的に掴むことができます。その上で原作小説を読むと、映像では時間の都合上カットされた細やかな心理描写や、登場人物たちの過去に関するエピソードなどを深く知ることができ、「答え合わせ」をするように物語を二度楽しむことが可能です。
汐見夏衛さんの作品では、特に人気の高い以下の2作品が映画化され、大きな話題となりました。
映画化された主な作品
- 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023年公開 / 主演: 福原遥, 水上恒司)
- 『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(2023年公開 / 主演: 白岩瑠姫, 久間田琳加)
(参照:映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』公式サイト)
どちらも各種動画配信サービスなどで視聴可能です。まずは映像で感動を体験し、その後、原作でさらに深い物語の世界に浸るという楽しみ方も、素晴らしい読書体験となるでしょう。
最新刊から読むのもおすすめ
著者の「今」の感性に触れたい、あるいはSNSなどで話題になっている新作からチェックしたいという方には、刊行されたばかりの最新刊から読むという選択肢も魅力的です。最新刊には、著者が今、最も社会や読者に伝えたいメッセージが色濃く反映されていることが多く、その作家の現在地を知るのに最適です。
また、多くの人が同時に読んでいるため、SNSなどで感想を検索したり、友人と語り合ったりと、リアルタイムで感動を共有できるというメリットもあります。ただし、最新刊を選ぶ際には一つだけ注意すべき点が存在します。
シリーズ作品の最新刊には注意が必要です
もし最新刊が既存シリーズの続編である場合、前作を読んでいないと物語の背景や人間関係、過去の出来事が分からず、物語の面白さを十分に味わえない可能性があります。作品を購入する前に、あらすじや紹介文をよく読み、その作品がシリーズものかどうかを確認することをおすすめします。
もちろん、完全に独立した物語であれば、最新刊から読み始めても全く問題ありません。そこから興味を持って過去の作品へと遡っていくのも、作家の作風の変遷やテーマの深化を感じられて、非常に面白い読書体験になるでしょう。
汐見夏衛作品の読む順番|基本情報をもっと詳しく

ここでは、汐見夏衛作品の中でも特に重要な代表シリーズの内容や、著者のプロフィール、そして全作品リストといった、さらに詳しい情報をお届けします。それぞれの作品が持つ背景や、著者の人柄を知ることで、物語は一層味わい深くなるはずです。次に読む一冊を探すための、あなただけの羅針盤としてご活用ください。
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

2016年にスターツ出版文庫から刊行された汐見夏衛さんのデビュー作であり、シリーズ累計発行部数は140万部を突破した紛れもない最大の代表作です。この作品は、著者が高校教師時代に、現代の高校生たちが戦争についてあまり知らないという現実に直面し、「今の若い世代の人たちにも、戦争や特攻隊員として生きた人々の話を知ってほしい」という強い思いから生まれました。SNSでの口コミで「とにかく泣ける」と話題が沸騰し、2023年には福原遥さんと水上恒司さんのダブル主演で実写映画化。その人気は社会現象となりました。
物語は、現代に生きるごく普通の女子中学生・百合が、1945年の日本にタイムスリップし、そこで出会った特攻隊員の青年・彰との切ない恋を描きます。反発しながらも、彰の優しさや祖国を思う純粋な心に触れるうちに、次第に惹かれていく百合。しかし、彼には、愛する人や家族のために、自らの命を懸けて戦地に飛び立つという、避けられない運命が迫っていました。
時代を超えた切ない恋物語を通して、戦争の悲惨さや理不尽さ、そして私たちが今享受している平和の尊さを力強く描いた不朽の名作です。続編として、百合のその後と新たな恋を描く現代を舞台にした『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』や、彰をはじめとする登場人物たちの視点から物語を深掘りする短編集『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。Another』も刊行されており、シリーズを通して読むことで、より深く感動的な体験ができます。
夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく

『あの花』と双璧をなす汐見夏衛さんの代表作で、こちらも2023年にJO1の白岩瑠姫さんと久間田琳加さんのダブル主演で実写映画化され、大きな成功を収めました。「夜きみ」の愛称でファンから親しまれ、第1回野いちご大賞を受賞するなど、刊行当初から多くの若者の共感を呼んできました。(出典:小説サイト野いちご)
本作の主人公は、周囲の期待に応えるために「優等生」を演じ、自分の本心をマスクで隠しながら生きている高校生の茜。彼女が、自分の気持ちをストレートに表現し、自由奔放に絵を描く銀髪のクラスメイト・青磁と出会うことで、次第に本当の自分を解放していく姿を瑞々しく描いた青春物語です。「マスク依存」や「自己表現への葛藤」といったテーマは、現代の若者が抱えるリアルな悩みと深くリンクしており、物語に強い説得力を与えています。
他人の目を気にして自分らしさを見失いがちな人、言いたいことが言えずに悩んでいる人に、自分らしく生きる勇気を与えてくれる作品です。同じ高校を舞台にした続編として、茜の親友や後輩の視点から描かれる『だから私は、明日のきみを描く』や『まだ見ぬ春も、君のとなりで笑っていたい』があり、シリーズを通して登場人物たちの成長を多角的に見守ることができます。
著者はどんな人?プロフィールや出身大学

汐見 夏衛(しおみ なつえ)
鹿児島県出身、愛知県在住の小説家です。大学を卒業後、愛知県で高校の国語教師として勤務していました。多忙な教員生活を送る中で、2013年頃から趣味として、スターツ出版が運営する小説投稿サイト「野いちご」で執筆活動を開始。そして2016年、投稿作品であった『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で待望の作家デビューを果たしました。
出身大学などの詳細な学歴は公表されていませんが、高校教師として長年、教育現場で生徒たちと向き合ってきた経験が、作品制作の根幹にあることは間違いありません。現代の高校生が抱える複雑な悩みや人間関係、繊細な心模様を驚くほどリアルに、そして温かい眼差しで描けるのは、著者ならではの強みと言えるでしょう。
インタビューなどでは「悩み疲れた心を解きほぐすような作品を目指して、日々執筆活動をしている」と語っており、その言葉通り、彼女の作品は傷ついた多くの読者の心に優しく寄り添い、明日への一歩を踏み出すための温かい光を灯し続けています。
【出版順】全作品一覧。文庫本の有無も
ここでは、汐見夏衛さんの単著作品をデビュー作から現在までの出版順にリストアップしました。単行本で刊行された後、読者の要望に応えて文庫化されるケースが多いため、文庫版の有無やシリーズ名も併記しています。このリストを使えば、著者の作風の変遷を辿ったり、まだ読んでいない作品を探したりするのに役立ちます。
出版年 | タイトル | シリーズ名 | 文庫版 |
---|---|---|---|
2016年 | あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 | あの花シリーズ | ◯ |
2017年 | 夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく | 夜きみシリーズ | ◯ |
2018年 | だから私は、明日のきみを描く | 夜きみシリーズ | ◯ |
2018年 | 海に願いを 風に祈りを そして君に誓いを | 鳥浦シリーズ | ◯ |
2019年 | まだ見ぬ春も、君のとなりで笑っていたい | 夜きみシリーズ | ◯ |
2019年 | 僕の永遠を全部あげる | – | – |
2019年 | 明日の世界が君に優しくありますように | 鳥浦シリーズ | ◯ |
2019年 | 君はきっとまだ知らない | – | ◯ |
2020年 | ないものねだりの君に光の花束を | – | ◯ |
2020年 | あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。 | あの花シリーズ | ◯ |
2021年 | さよなら嘘つき人魚姫 | – | – |
2021年 | 雨上がり、君が映す空はきっと美しい | – | ◯ |
2021年 | 真夜中の底で君を待つ | – | ◯ |
2021年 | 臆病な僕らは今日も震えながら | – | ◯ |
2023年 | たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ | – | – |
2023年 | 夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく ~Another Stories~ | 夜きみシリーズ | ◯ |
2023年 | さよならごはんを今夜も君と | さよならごはんシリーズ | ◯ |
2024年 | あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。Another | あの花シリーズ | – |
※上記は主な単著作品の一覧です。複数の作家によるアンソロジーへの収録作品は除きます。
まとめ:汐見夏衛作品の読む順番
汐見夏衛さんの作品は、その透明感あふれる美しい作風で、多くの読者の心を掴んで離しません。元国語教師というプロフィールを持つ著者ならではの、登場人物たちの心のひだを丁寧にすくい取るような繊細な心理描写は、喜びや痛みを読者自身のものとして鮮やかに感じさせてくれます。特に映画化もされた代表作は、著者の魅力を知るのに最適な入口と言えるでしょう。
おすすめの作品は多岐にわたりますが、どの物語にも共通して、読後に温かい気持ちと明日を生きるための小さな勇気を与えてくれるという、一貫した魅力があります。手に取りやすい文庫本も数多く出版されており、この記事で紹介した「読む順番」のパターンを参考にすれば、あなたの興味を惹く、特別な一冊がきっと見つかるはずです。まずは気になる作品を手に取って、その優しく力強い世界に触れてみてください。
- 読む順番に迷ったらまずは刊行順にシリーズ作品から読むのが王道
- 映画化された『あの花』や『夜きみ』などの代表作から入るのもおすすめ
- 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は時を超えた愛を描く不朽の名作
- 『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』は現代の若者の心に響く青春小説の金字塔
- 著者の元国語教師という経歴がリアルな心理描写と美しい文章に深みを与えている
- 全作品一覧を参考に自分の興味に合った未読の作品を探すことができる